F-BLOOD SPECIAL ISSUE/ライブレポート  

F-BLOOD 25th Anniversary TOUR 2022

LIVE REPORT at 2022.11.13 中野サンプラザ

25周年を迎えたロックンロール・ブラザーズ

アルバム「Positive」リリース後のツアーが新型コロナウイルス蔓延の影響で中止となり、新たに開催された「25th Anniversary TOUR 2022」。
ツアー中盤・中野サンプラザ公演2日目の様子を、兄弟MCを中心にお届けしよう。
もちろんネタバレありなので、万一まだライブを観ていない方は後日お読みいただくのもアリ。
さらに12月25日の最終日はライブ配信も決定しているので、ぜひ復習も楽しんで!

F-BLOODのロゴを掲げたステージに、藤井兄弟とバンドメンバーが登場。1997年の1st.シングルリリースから25年。兄弟それぞれの活動を続けながら、ゆるくマイペースに行われるユニット活動。待ち兼ねた観客が大きな拍手で迎える。フロントに並ぶ二人の姿そのものが嬉しい。
オープニングを飾ったのは、「BLOOD #1」「BLOOD #2」。ユニット名である藤井家の血。ソロとは違う、このサウンド、ハーモニー、そして空気感。一瞬にしてF-BLOODワールドに包まれる。歪んだギター、骨太なドラムとベース、曲により多彩な音色を乗せるキーボード。ソロでも多様なスタイルのコンサートで楽しませてくれるフミヤだが、唯一のユニットであるF-BLOODは、本人もファンも楽しみで大切にしている活動だ。続いて『「I」』。照明の赤と青が、動脈と静脈のように強いコントラストを見せる。藤井兄弟に流れる血液型Fの血は、すでにファンにも流れている。総立ちの客席は、二人のハーモニーとロックなサウンドに身体を委ねる。フミヤは天を指差し、ラストは手を広げて歌い終えた。今回は座席制で、これまでのスタンディング形式とはまた違う雰囲気が楽しめる。なお、この日の衣装は黒地だが、公演により数パターンをローテーションしている。
3曲目は「未来列車」。ホッと安心するような、ホーム感あるナンバー。新たな扉を開ける歌詞は、ライブの導入にもぴったりだ。フミヤは赤いタンバリンを手に、尚之は白黒のギターを抱いて、爽やかなハーモニーを重ねる。柄を映し出すライトがくるくると回転し、ステージを彩る。サビでは観客が手を伸ばし、クラップも小気味よく揃った。ステージ背後の「F-BLOOD」ロゴが、シンプルなセットに映えている。ステージセットは直線を三角形に組み合わせた鉄骨、そして照明によって空のようにも錆びたスチールのようにも見える布使いで、曲により表情を変える。
尚之がギターをサックスに持ち替え、リードボーカルをとる「ファイト!」。生きていれば日々いろいろある、でもポジティブに乗り越えていきたいし、カッコつけることは忘れたくない。そんな主人公を演じ、曲中にポケットからコームを取り出して髪を撫でつける。勢いのあるロックなボーカルに、フミヤが高音でコーラス。尚之「頑張りまっす〜!」フミヤ「頑張れ!」の掛け声からサックスソロへ。ピンク×黄色のライトがポジティブなカラー。会場はノリノリで応える。曲が終わってフミヤが次の曲のスタンバイをする間、先にMCを始めたのは尚之だった。

尚之(以下Nこんばんは。F-BLOODでぇございやす!(場内拍手)まあ、お座りください。久しぶりのF-BLOODの活動なんですけれども。皆さんご承知の通り、コロナというとんでもないことが起こってしまい、えー……前のアルバム、何でしたっけ?
フミヤ(以下F):前のアルバム、えーとね、「Positive」。
N:あ、そう。「Positive」だ(笑)。アルバムを出して、さあツアーを回ろうぜ!って時に、コロナでね。
F:中止になりまして。グッズは作ってたんですけど、優しい人たちが買ってくれたんですね。ありがとう。お世話になりました!
N:その分、今回のツアーで我々は鞭打ちながら頑張っております。(拍手)
F:中止になって、2年ぶりにやっぱりやろうっていうことになったら、運良くちょうど25周年。
N:そう。25周年でアルバム4枚!(笑) ねー。大したもんだ(笑)。
F:大したっていうか、だいぶサボったんです。
N:先の短いっていうか、もうあんまりないじゃないですか、我々。なので、どうやってその……
F:(お互いを指して)会話って、もっと受け渡しするんだよ。普通(笑)。
N:いや、だから俺はお客さんに話してる。まあでも、確かに兄ちゃんと、こうやって見つめ合って話すことはないよね。
F:なんか微妙な漫才コンビみたいになってるよ。まあ、尚之が作曲して俺が作詞したものはF-BLOODというカテゴリ。今後もうずっとやっていきますんで。
N:若い時の作品とかも当然あるわけですから。若い時の作品って、若い時しか作れないと思うんですよ。
F:尚之は、次の曲に行こうという気があるのか?(笑)
N:ああ。すいません。久しぶりなんでね。
F:久しぶりじゃない、昨日やったばっかりだよ! 今回は尚之がよくしゃべってます。それではいろんな曲やるんで、楽しんで帰ってください。それでは尚ちゃん、用意はよろしいですか? チェッカーズのナンバーから聴いてください。

演奏はバッチリ合うのにトークでは微妙にズレながらの兄弟節に、客席は終始笑顔。ドラムの8カウントが、二人を瞬時にミュージシャンの顔に戻し、「Blue Moon Stone」へ。弾むベースラインに身体を揺らす客席。続く「君を探しに」では、フミヤがハンドマイクでステージ左右へ。モニタに足を掛けたり乗ったりと、ホールでありながらF-BLOODらしいライブハウス感が溢れる。「How are you doing?」の歌詞通り、客席に話しかけるように笑顔を向け、サビでは大きく腕を回して歌う。後奏では尚之が素早くサックスをギターに持ち替え、そのまま次のイントロを掻き鳴らして「GENERATION GAP」へ。フミヤは手を伸ばし、広げ、歌う。間奏ではオルガン、ドラム……各楽器がパワフルに音で遊び、客席では光り物がキラキラとカラフルな色を放って応えた。MCでは、フミヤがモニタに腰掛けて話す。

F:(客席に)隙あらば座ってください。俺も座る。F-BLOOD、ずっとスタンディングが多かったんですけどね。まあコロナもあって、いろいろ皆さんのことも気遣い、そろそろ座った方がいいかなっていうね。年齢的に(笑)。私もこの間、7月11日で、映画も半額ぐらいの値段に。完全にポップコーンがタダっていう(笑)。
N:おおー。素晴らしいですねぇ。
F:ちょっと兄ちゃん疲れたから、しゃべって。
N:あははは! まあ、私はまだ57。
F:すぐだよ、2年後だよ! もう一個お前分かってないだろ。2年後、定年だからな。(場内爆笑)
N:まあね(笑)。それでも、そういう社会には生きてないんで、我々の社会っていうのは。
F:職業。社会はみんな同じだからね。
N:じゃあ我々の数学。何を言ってるんだ。我々の国語。いや違った社会。
F:何、何、何?
N:我々は、本人が「俺やめた!」って言ったら終わりでしょ。歌えなくなったらってことでしょ。俺は演奏。
F:尚之はこのままいくと、手が震えやすくなったり。
N:いいじゃないですか。トリルですよ、トリル! ギターだったら速弾きってやつですか、そういうのがすごく上手くなる。
F:速弾き奏法じゃないから。ヘヴィメタじゃないから(笑)。震えるだけ。(お酒を)飲ませたら治まる。
N:本当ねー。それはそれで技術を……
F:お前、次の曲に行こうという気がないな。今のMC分かってる?「GENERATION GAP」はV6に書いた曲だっていう、そこから次の曲に流れていくんだよ。
N:ねえ。V6の皆さん、女優さんとご結婚なされて。素晴らしい! ほんっとに。
F:そういう話じゃない(笑)。とにかく、V6に曲を書いたけど解散しちゃったから、俺たちがずっと歌っていきます!っていう話です。
N:次の曲もそういう曲でございまして。わりとF-BLOODを代表する曲になっちゃったような気もしますけど。
F:そうですね。正しいMCです(笑)。(拍手)それでは、今や我々の代表曲になっておりますが、もともとは猿岩石に書いた曲であります。それでは「白い雲のように」聴いてください。

ゆるい藤井兄弟を見せる、というコンセプト通りなのか予想外なのか、とにかく笑えるやりとりから「白い雲のように」。シンプルな2本の青いライトが二人を照らす。一転、「Long Road」では、ステージ後方から射す光が、1本の道となって輝く。人生という旅を思えば、多くの観客は長いこと藤井兄弟と一緒に旅をし続けているわけだ。2コーラス目では、6本のストライプのように床に光が伸び、シンプルながら新鮮なビジュアルで魅了。オルガンとリバーブのかかったサウンドが、教会のような神聖さをさらに際立たせる。ホール自体の装飾である幕のドレープまでもが、まるでセットの一部のようだ。続いて「指輪」。若草色のライト。楽曲の中でラブソング多しと言えど、明確なウェディングソングは決して多くはない。厚い音が、重ねてきた時や揺るがない愛を思わせる。結婚の意味も形も変わってきた今の時代における「約束」とは。変わらないものとは。時代や歳を重ねて味わいが変化するのが、音楽を聴き続ける醍醐味でもある。ステージ後部には、船の帆のような三角形が浮き上がる。ドラマチックなギターソロの余韻を残しながら曲が終わると、フミヤが深く一礼。

ここでMC。普段なら暗転中に客席から二人の名前を呼ぶ声も起こるのだが、今回はまだ感染防止対策が続いていることもあり、静か。MCに入ると、まずフミヤがメンバー紹介をしてから、「我々、F」「BLOOD!」全身でFとBを作って決めポーズ。客席からは歓声と笑いと拍手が起こる。そして話題は子供の頃から青春時代へ。

F:尚之は、虫かご下げた女の子しか連れてきたことない。俺なんかは、セーラー服の可愛い子とか連れてきてたのに。
N:兄ちゃんはね、ませてたね。
F:ませてたっていうか、女の子と遊ぶのが好きだったんで。まあまあモテたんだよ。
N:モテてましたよ、兄ちゃんは。
F:尚之は高1は坊主だったからね。
N:そう。ちょっと暗い寂しい青春時代を送ってたわけですけれども。でもそこで、チェッカーズっていうバンドに入れるきっかけが。
F:尚之は最初チェッカーズ入った時、坊主だったんだよ。だからバンダナ巻いて。
N:バンダナ巻いたり、あと一人だけブルース・ブラザーズみたいな黒いハットかぶってね。
F:そうだな。懐かしいな! それでまだ2曲しか吹けないんですよ。1曲はね、「テキーラ」っていう。(尚之がギターでコードを弾く)♪パパパパパッパッパってやつ。もう1曲は「セレソ・ローサ」。えっ、弾けんの? 弾けないよね。あの複雑なコードは。
N:弾けない。サックスは吹けますよ。
F:ちょっと、リズムだけ出してもらったら?(ドラムがリズムをとり、尚之がワンフレーズ演奏)♪テキーラ!(拍手)そして「セレソ・ローサ」。(サックスの見事なフレーズに拍手)忘れないもんだねー。もう(次の曲の)ギター持ってください。
N:はい(笑)。二人の脱線ショーでございました!
F:ずいぶん長くなったから、次のMCは巻いていこうぜ(笑)。さあ、それでは尚ちゃんのテーマ、「寝顔」。

話の流れで2曲を即興披露という、なんとも貴重なシーンとなった。「寝顔」のキュートさは、主人公が悩んでいるのが、決して「酔ってこうなってしまってどうしよう」ということではなく「恋してしまったかも」という点だ。軽やかな口笛ソロは、言葉にならない想いを語る。ここで再びMC。

F:Yeah! なんか、思いのほかMCの長いコンサートになってるんですよね。こんなはずじゃなかったのに(笑)。まあいいか。カッコつけられない兄弟なんですよ。
N:カッコつけるのって、一瞬は気持ちいいかもしれないけど、疲れるよね。
F:ずっとはね。尚之、カッコつけることってあんの?(場内爆笑)
N:ええっ? カッコつける時は、そりゃカッコつけてますよ、一生懸命!
F:サックス吹く時ぐらいだよね。
N:あ、そうですね。演奏してる時はカッコつけてるかもしれない。MCとかは無理だね。
F:MCは無理だよ。あんましゃべらないほうがいいんだよ。“無口な尚ちゃん”の方がいいと思うね、人生。
N:あのね、なまりがとれん! ほんなこつ、とれん。
F:普通とれるんだよ、福岡人って意外と。
N:とれんねー。もう誰と話ばしよっとかいな?っていう。
F:お前んちの家庭に福岡人いないのにね。なんでだろう。じゃあさ、なんかチェッカーズのアマチュアの頃で、俺が忘れてるであろう、何か「これ忘れとるやろ」っていう話ある?
N:えっ? あの、それってすごく難しくない?(笑) 何か話してて「あれっ、それ知らんかった?」とか「覚えてない?」っていうなら分かるけど。
F:この間、写真整理してたら、チェッカーズでキャンプに行った写真が出てきて。
N:あ、あのJETSのやつ? ニッポン放送の……
F:違うな、それは。もっとデビュー前の話。
N:あ、デビュー前。あー! あの、あれ、はいはい! あの、はい。キャンプ行ってた写真ね。
F:あのさ、なんかちょっと面白く話してくんない?(場内爆笑)
N:アマチュアん時のあれでしょ。あの人が一緒に写っとったやろ?
F:尚之もういいや。全然繋がらない話だからもういい(笑)。
N:次の曲に繋げるわけでしょ?これを。
F:そうそう。次の曲に繋げたいのに、お前がめちゃめちゃにしていく。
N:やったぁーー!!(ポン!とボンゴを叩く。場内爆笑)
F:それでは、我々藤井兄弟、父も母も亡くなって二人きりなんですけどね。兄弟の記憶はちっちゃい時のがいっぱいあってね。F-BLOODは、どちらかがくたばるまでやっていきますけど。俺らの記憶も、どっちかがなくなったら一人だけの記憶になるという、記憶の歌。それじゃ尚之、太鼓を叩いてください。
N:太鼓(笑)。はい、太鼓を叩きます。

尚之が太鼓ではなくボンゴ、を打ち鳴らし始めたのは「遠い昔の話」。しなやかな手首でリズムを奏でる。昔から手の綺麗さにもファンが多い人である。そこにフミヤがハーモニカでノスタルジーを加えていく。兄弟の記憶、そして観ている私たちの記憶。オレンジや黄色の光に包まれ、観客は着席しながらもゆったりと身体を揺らす。続いてドラムがパワフルに響くと、観客は再び総立ちに。人気の「恋するPOWER」は、ピンク、グリーン、赤、黄色とカラフルなライトが踊る。完全に終息はしないコロナ禍とはいえ、ライブがほぼ日常に戻ってきたのは間違いなく、こうした一人ひとりのパワーが地球を回しているのを実感する。

F:明るい歌ばかり歌ってきましたけど、ここでちょっと深い男女恋愛の歌を歌っていきたいと思います。
N:あー、正直にね。正直に生きようよ。
F:正直? 俺がか? 
N:いや、みんなよ。みんな。
F:そりゃそうよ。深い恋愛。
N:そうそうそう!
F:男と女。
N:あーーーその通り、その通り!
F:今までちょっとBoys & Girlsな感じでしたけどね、ここからは男と女の……
N:はい、ハッキリ言いましょう! 「エロい歌」ですよ!
F:エロい〜?(笑)
N:エロくはないか?
F:セクシーとエロい、違いが。
N:だから、正直な歌ですよ。
F:そんな、俺がエロの塊みたいな。
N:詞はあなたが書いてるんですからね。
F:でも、そういうものを想像させるメロディーを書いてるでしょ?
N:ほっほーう! そうですかぁ〜? 
F:俺はそれを素直に書いてる。
N:だから正直に曲を書いてる!(なぜかエロを相手のせいにしたくて張り合う兄弟に場内爆笑)
F:この場で解散っていう話?(笑) それでは、兄弟で書いたセクシーな歌をお届けしましょう。次の歌は、僕らはレコーディングしてないんですけど、久留米にThe TRAVELLERSというバンドがありまして、時々尚之が参加してます。そのバンドに書いた歌を聴いてください、「切れた首飾り」。

F-BLOODのステージでは初披露となったこの曲。ムードたっぷりのサックスから、叙情的なメロディーと映画のような歌詞。細かいライトが真珠のように床に散らばり、ステージは天空に浮いているかのように暗闇に浮かぶ。セルフカバーでリリースしてほしい程のハマり具合だ。「最後の晩餐」は、テーブルを挟む男女がリアルに浮かぶ、大人のドラマ。サビではライトの赤色が、ワインやリップの色を思わせる。しっとりと湿度を帯びた大人の曲が続く。「東京Style」では、スタイリッシュなサウンドで都会の夜が描かれる。フミヤはハンドマイクで、ステージ左右で客席を煽る。

F:さあ、ここからはこの勢いで後半に行きます。我々、ティーンエイジャーの時に音楽を始めたきっかけは、ロックンロールでした。
N:ロケンロー!(髪を撫でつける)
F:我々、生き残りみたいな感じ。ロックンロール、8ビート、3コードとか4コードとか最近ないもんね。
N:ないっ! すぐ転調しやがって!(笑)
F:最近イントロも短いもんな。昔なんて「いつまでも始まんねーな、この曲」とかあったけど。
N:我々はイントロに命懸けてる時代。私の場合はとくにもう。
F:尚之はイントロ上手いよね。
N:イントロはもう俺にまかしてくれー! キャッチーなイントロはまかしといて!(拍手)
F:面白い、お前(笑)。さ、大丈夫か、次のイントロ? なんだっけ、あ、ロックンロールだ。
N:そうです、ロケンローです!
F:それじゃ盛り上がっていこうぜ! 

イントロから手拍子が揃う「ポジティブR&R」。心も身体もシンプルにのれる、踊れる、音楽の楽しさを全身で味わえるナンバー。尚之がサックスのソロを決めれば、フミヤはボックスステップを踏み、まるで二人がデビュー前のダンスホールに招いてくれたかのよう。点滅する赤いライトが、さらにダンスタイムを盛り上げる。「I LOVE IT!ドーナッツ!」では、尚之はサックスを肩に担ぎ、初めてハンドマイクでステージ左右へ。客席が手を振って二人を迎える。尚之はサックスソロから走ってマイクに戻り、コーラス。フミヤが「尚之は俺より忙しい」と認める活躍ぶり。天国のエルビス、ジョンやジョージを指差しながら歌い、ラストはジャンプで締めた。一言でロックンロールと言っても、いろいろな曲と歌詞で魅了してくれるF-BLOOD。「Want Chu」は、フレッシュな恋の喜びをストレートに歌う。イントロもリフも天才的なフレーズで聴かせる尚之。フミヤは客席のダンスや手振り・手拍子を煽り続け、場内のヒートアップは止まらない。2階席はすごい揺れだ。

「孤独のブラックダイヤモンド」では、あえてチェッカーズっぽさを加味した時代感と、ハード&クールな歌詞に痺れる。フミヤが戻らない過去と未来を指差し、尚之はハイトーンのコーラスと力強いサックスを聴かせた。ここでフミヤの「Last song!」に、久々の「えーっ!」という歓声が起こり、「NANA」へ。これぞ名イントロ、色気のあるサックスの真骨頂だ。世間でこの歌詞が話題になったあの当時、あなたは何歳だっただろうか。フミヤがマイクを銃に見立てて客席を数発狙い撃ちし、フィニッシュ。充実の本編が終了した。大きな拍手が送られる中、F-BLOODとバンドメンバーは一旦舞台袖へと去る。

興奮冷めやらぬ客席の拍手に応え、再び登場した藤井兄弟。F-BLOODのTシャツ姿で並ぶ。アンコール1曲目は「Make me」。尚之のアコースティックギターに乗せ、フミヤは手を広げ、大切な相手を抱きしめるように歌う。曲中では「おいで、行くよ」と手を差し伸べ、明日へと誘う。深く大きな歌の世界と二人のハーモニーが、客席を広く照らすライトと合わさって、会場全体を包んだ。

F:今日はありがとうございました! 今日は3時からやったから、まだ5時ちょっとぐらいだと思うので。中野で、食べるなり飲むなりしてください。
N:ちょっと風が強いかもしれないですから。
F:「キャッ!」てね。(風でスカートがめくれるのを抑えるアクション)
N:モーレツ!(会場爆笑)
F:知らないと思うよ!
N:いやいや、笑ってる人の方が結構いるよ。
F:ま、一緒にこうやってゆっくり歳をとっていきましょう(笑)。(拍手)それじゃ最後の曲です。盛り上がっていこう!

尚之は白黒のエレキギターに持ち替え、ラストは「SHOOTING STAR」。フミヤはハンドマイクで左右へ。2階席にも手を振る。ステージを歩くフミヤは足元のモニタを越え、ステージと客席ぎりぎりの場所を歩く。天井に水玉のライトが回転し、場内を躍動感たっぷりに煽る。いつまでも光を放ち続ける人気ナンバーが、みんなの胸に星を届けた。「Thank you! バンドのメンバーに大きな拍手を。帰りは気をつけて。また一緒に遊ぼうぜ!」と、みんなで一丁締め。明るくなった場内にSE「Ourselves」が流れる中、二人は手を振って何度も礼をする。フミヤと尚之それぞれからの投げKISSに、ひときわ大きな歓声が上がった。

25周年を迎えたF-BLOODが円熟味をいかんなく発揮しながらも、心から楽しんでいることが伝わるステージだった。やはりこのロックンロール・ブラザーズは最高だ。二人の口ぶりからは、そう遠くないうちに次のステージで再会できるかもしれない。

★ツアー最終日となる12月25日の公演は、ライブ配信が決定しました。詳しくはこちら

【SET LIST】

BLOOD #1 #2
「I」
未来列車
ファイト!
Blue Moon Stone
君を探しに
GENERATION GAP
白い雲のように
Long Road
指輪
寝顔
遠い昔の話
恋するPOWER
切れた首飾り
最後の晩餐
東京Style
ポジティブR&R
I LOVE IT!ドーナッツ!
Want Chu
孤独のブラックダイヤモンド
NANA

<ENCORE> 
Make me
SHOOTING STAR

【F-BLOOD】

Vocal : 藤井フミヤ
Vocal,Sax,Guitar : 藤井尚之

【BAND MEMBERS】

Drums : 大島賢治
Keyboards : SUNNY
Bass : 中村昌史
Guitar : 沢頭たかし

※写真は複数公演で撮影されたものとなります。