F-BLOOD SPECIAL INTERVIEW

●ステイホームと社会の変化

F:外出自粛中は、まず免疫を上げて元気でいようということを意識したね。もともと気をつけている方ではあるけど、よりシビアに。あとは、今だからこそ家でやれることをやろう、ということで、まず2週間近く掃除して物を捨てまくった。

N:この期間に断捨離した人は多かったらしいよね(笑)。


F:あとは、子供も大きくなって、これだけ家族で一緒にいられる時間というのはなかったから、それはそれで貴重な時間だった。


———尚之さんは、曲作りなどをされていたのでしょうか。


N:いやー、それがね。曲を作ろうとトライはしたんですけど、やっぱり、ある程度の目標とかコンセプトに向かって作らないと、なかなかこれというのが出てこないんですよ。妙にぼんやりと作ってしまったりして。とはいえ、せっかくだから自分の身になることをしようと思ったわけです。しばらく遠ざかっていたフルートを触ってみたり、自宅の録音システムをもっと充実させて、制作環境を整えようと考えてみたり。今までは、自宅で完全に作業が済むほどのシステムはなかったし、そもそも必要がなかった。でも、今後もいつ同じ状況になるか分からないし、環境を整えておくつもり。


———フミヤさんは、絵を?


F:それが俺もね、意外と4作品ぐらいしか描けなかったんだよ。普段は音楽をやりつつ絵も描くというスタンスだけど、なぜか絵だけを描き続ける気分にはならなかったんだよね。もちろん時間があったから描こうとはしたんだけど、机に向かっていると「天気がいいのに何やってんだろう、俺?」となるわけ(笑)。なかなか外に出られないからこそ、健康を保つために歩くことを優先した。ちょうど桜も咲いて、日本の一番いい季節だったからね。3日に一度は6〜7キロ歩くのが習慣になったよ。外の空気に触れるのは、精神的にも大事だな。テラスで食事もできるようにテーブルを買ったんだけど、もっと早く買えば良かった〜と思うぐらい快適。あとはもう、食事が唯一の楽しみだったからね。ここまでするかっていうぐらい徹底的に自炊しまくった。


N:兄貴は普段から料理をよくしてるもんね。俺はほとんどしないけど、その分、片付けは率先してやりますが(笑)。


F:一度、いつも使ってるスーパーが、店員さんに感染者が出てクローズしちゃったんだよ。食料品だけは常に買いに行ける安心感があったのに、あれは打撃だった。お店の人もみんな大変だよね。スーパーとかコンビニの店員さんとか配達の人とか、本当にありがとう!と思うもん。


N:うちも近所のスーパーの店員さんが感染されて、一度閉まってましたね。本当に皆さん、よう頑張ってくださいましたよ!こっちも、なるべく買い物の回数を減らすために備蓄しやすい食材を選んだり、通販やお取り寄せに切り替えたり工夫して、どうにかこうにか過ごしたけど。社会も消費者も、生活のスタイルがだいぶ変わったよね。多方面の方々が困っていて、それぞれが工夫して頑張って乗り越えようとされている。当初は、ウイルスは暑くなったら落ち着くんじゃないかという希望もあったけど、結局関係なかったし。これは時間かかるぞと思ってますよ。


F:生き方が変わる人も多いよね。周りでも、これを機にリタイアした人もいたよ。俺はもっと仕事をしたいけど、今回、リモートでできる仕事もけっこう多いんだなと分かった。移動しなくてもいいとか、データ送ればいいとか。個人的には、人間の自然な営みとして、これぐらいがちょうどいいのかもしれないとも思ったりするよ。今までの社会はスピードも速く、忙し過ぎたんじゃないかと。通勤や出社も、当たり前にしていたのが変わってきた。もちろん、業種によっては今こそ忙しいエッセンシャルワーカーの人たちもいるし、リモートにできない業種も多いから、すべてに言えるわけじゃないけど。


———都市部から郊外や地方への移住も増えていますしね。


N:そう。すでに数年前から、パソコンで作業できる人は都心にいる必要はないよね、という流れはあったじゃないですか。好きな所に住んで、今と同じ仕事をやれる、と。それが、今回はっきりと立証されたから、さらに加速するだろうね。大企業も、これまでみたいに都心の一等地にオフィスビルが必要ではなくなるし。


F:すでに、原則リモートになった大企業もあるしね。世の中かなり変わるよね、ここから。


N:しかも、それが全世界で起きている。相当変わってくるでしょう。