彩事季 ー My Life & My Way

青空と武道館ライブ
青空と武道館ライブ

My Life & My Way

新型コロナウイルスが教えてくれたものは、何だろう。

人生で、こんなに長い休みをもらったのは初めてだった。
休みとはいえ、どこにも行けず、誰とも会えない。コロナで生まれた“Stay Home”の言葉通り、ほぼ2ヶ月間は誰とも会わず家族だけで過ごした。これも初の出来事である。家族が仲良しでよかった。

メディアはコロナ報道一色だったが、情報を断つと、驚くほど綺麗な青空に春の花の香りが漂う、平穏な日々だった。時間を持て余しながら、贅沢にだらだら過ごした。家の中で楽しめることやできることは限られる。最初はインドアな娯楽や趣味に向かってみるものの、それにも飽きて、身の回りを整理整頓し、無駄な物を捨てまくった。

さらにやることがなくなると、思考は次第に内面に向かう。自分自身を見つめ直し、過去と未来を考える時間となった。
今、自分がいるポジション。ここからどう進み、どう生きるべきか?
年齢は切実に考慮しなければならない。気持ちだけでは突き進めないこともある。多少無理をすればまだまだ行けるが、このまま引退してもおかしくない年齢でもある。若くもなく老け過ぎてもいない微妙な年齢だけに、シーソーのように心が揺らいだ。

社会はコロナを経験し、人々の価値観は根底から変わった。
Stay Homeで世の中の時間が緩やかになると、個人的には、むしろこのぐらいで丁度いいとも感じた。今までが忙しすぎたのかもしれない。
なにしろ、この国自体がずっと多忙で来ている。世界経済のトップテーブルに座り、カードを配られた以上、今さらゲームから降りることはできないのだろう。
国の在り方についても考えさせられた。国政は国民に何をしてくれたのか。この国の政治は優秀なのかどうか。そもそも国政が自分を幸せにしてくれるわけではない。いろんなことが露わになった。

誰もが幸せになるために生きている。
幸せとは、朝起きて大きな悩みもなく、カーテンを開けて背伸びをして、さぁ今日も頑張ろう! そんな日常だと思う。今まではそれが当たり前すぎて、つい不平不満を言いながら生きていた気がする。
コロナ騒動で、空気のようにそこにあった幸せが突然失われた。自由に人に会えない、話せない、出かけられない。仕事や収入が減る、なくなる。世界中の人が、それを同時に経験した。

自分の職業はシンガーだが、今回コンサートツアーが中止になり、先もまだ見えぬ状況。初めて、コンサートという仕事がどれほど自分に幸せを与えてくれていたのかを痛感した。なんて最高な職業だったのだろう。
FFの存在は、心の支えだった。SNSやインターネットでFFメンバーと繋がることは、安心や癒しとなって不安を緩和してくれた。しかも、中止になったコンサートのグッズをネットで買ってくれるなんて! なんていいメンバーなんだぁ~。涙ウルウル。

自分の今、過去と未来、希望や夢、そして周りを取り巻くあらゆるものを繋ぐものは、歌だ。
私の幸せは、やはりステージで歌うことに尽きる。
早くバンドと一緒に音を出し、コンサートスタッフに会いたい。
早く観客に、FFのみんなに会いたい。
早くステージの上で、全身全霊フルパワーで歌いたい。

コロナは、今まで自分がいかに幸せな場所にいたかを教えてくれた。
ステージの上に戻ること、それがMy Life&My Wayである。
あの場所へ、早く帰りたい。

Fumiyaサイン