●歓声なき熱狂
F:歓声がないのも、俺らが慣れなきゃいけないんだよな。もちろん、みんな気持ちはかなり盛り上がってくれてるんだろうなーという前提でやってるけどね!内容としては静よりも動のライブだけど、俺自身は盛り上げつつも、程よく冷静。最初は、まるで初日前にやるFF招待の公開ゲネプロをやってるような不思議な感覚だった。歌っている間は歓声がなくても気にならないんだよ。みんな立ち上がって踊ってるし。ただ、MCは反応が分からなくてやりづらいんだよね(笑)。ステージでライトを浴びていると、客席がよく見えないし。でも、今回はもう、こういうパッケージを見てもらうタイプのコンサートとして考えている。
———場内は相当盛り上がっていて、曲の1音目で息をのみ、涙される方も多いです。声なき熱狂というか、小さい驚きの声やざわめきは起こっていますし。
F:こっちも手拍子や振りがある楽曲を入れたりして、お互いに盛り上がろうという工夫をしてる。ステージから何か問いかけると、みんな拍手や、手で丸を作って、一生懸命に表現してくれるしね(笑)。さらに光り物を振ってくれたら、もう少し通じ合えるだろうということで、急遽HOTAFURUを追加して売ることにした。あれは振れば振るほど光るから、レスポンスが分かりやすい。コロナもいつまで続くか分からないから、もう光り物は定番のコミュニケーションツールとして必要かもしれないね。でもこれ、よそのコンサートはどうなってるんだろう? どこもこんな感じなんだろうか…。ま、すべて試行錯誤しながら、業界全体が進んでいくしかない。
———ライブの最後も、いつもの歓声で見送られるのとは違う雰囲気ですよね。
F:そうそうそう、あれがウルっと来るんだよなぁ! みんな声もなく、涙目でマスクして、拍手したり手を振っててさ。お互い涙ぐむ別れ際で、なんとも去り難くて後ろ髪を引かれる。もはや昔の、フェリー出港で紙テープ投げてるとか、窓が開くタイプの古い列車を見送る別れ際みたいな感覚 (笑)。またしばらく会えないっていう寂しさがあるんだろうけど、大丈夫だから! また会えるんだから! って(笑)。でも、本当にみんなよく来てくれたなと、ひたすらありがたく思うよ。