彩事季 ー 三感一体

三感一体

朝の日課は散歩だ。家を出たら、まず公園の大きな木を見上げて背伸びをし、深呼吸する。その木はいつも新緑のようなライトグリーンの葉を生い茂らせていて、その隙間から空と朝の光がキラキラと溢れている。「ああ、なんて気持ちがいいんだ」。こうして一日が「気持ちがいい」で始まる。
なぜ、気持ちがいいと感じるのだろうか。例えば、お風呂、マッサージ、スカッとするようなこと、美しい自然のある場所へ行った時、Make love…etc. 触覚そして視覚聴覚といった、五感刺激の組み合わせで呼び起こされる感覚なのかもしれない。
また、人には、幸せな気持ちをもたらしてくれるいくつかの感情がある。「嬉しい」という感情は、どういう時に生まれるのか。例えば、思わぬサプライズ、欲しいものが手に入った、大好きなものを食べられた、好きな人と会えた…etc. 主に直接的な接触から感じることが多いように思う。
「楽しい」はどうだろうか。例えば、気心の知れた親しい友人や恋人と一緒に過ごす、趣味に没頭する、一人で自由にダラダラと過ごす…etc. 自分の好きな時間を過ごすことができている状態。

「気持ちがいい」「嬉しい」「楽しい」
人はこの3つの感情を得たいがために日々努力し、それが心のエネルギーになって、また明日からの日々を頑張ろうと思うのかもしれない。

それでは、これら3つの感情が合体した時はどうなるのか。場合によっては声を上げるくらい興奮したり、感極まり涙することだってある。三位一体ならぬ「三感一体」。これほどの至福はないだろう。
自分にとっては、どういうシチュエーションで感じられるだろうか。例えば、長期休暇で家族と海外旅行に行って、美しい海を眺めながら、なぁ~んにも考えずに美味しいランチを食べて昼間からワインでも飲んでいる時間。派手さというより穏やかなシチュエーションだが、想像するだけで「ハァ~、そこへ行きたい!」と、ため息が出る。まさに先ほどの「美しい自然のある場所」で「気心知れた人」と「好きなものを食べ」、何も考えずに「自由な時間を過ごしている」時である。

他にもないだろうか、と考えてみて、ふと気付いた。ん?! ひょっとすると、コンサートは「三感一体」を満たしているのではないのか?

まず、コンサートツアーは気の合う仲間との旅である。しかも観客という、自分を待ってくれている人たちに会いに行くのだ。本番は「歌う」というパフォーマンスで魂を発散し、全身を使い、それを大勢の人に伝えるから心身ともに気持ちがいい。会場には我が同志FFメンバーが大勢いて、気心の知れた関係だ。
FFメンバー側の視点で考えてみると、フミヤが東京から会いに来る、そこに会いに行く。会場では、久しぶりのF友にも会える。歌を生演奏で聴けるし、綺麗なライティングと大きな音響システムの空間で、日常を忘れてキャーキャーワイワイ騒げる。そこでは演者と観客みんなのエネルギーが一体化し、身も心もエネルギー超満タン! 自分へのお土産にツアーグッズもGET(まいどあり!)。終わればF友と一緒に、ああだこうだと盛り上がりながら食事。帰宅し、余韻に浸りながら心地よい眠りにつく。「明日からまた頑張ろう…ムニャムニャ」そう呟いて爆睡。場合によっては、夢の中まで私がお邪魔するかもしれない。おお、これは三感一体をほぼ網羅できているのでは?

こうして考えてみると、やや手前味噌ではありますが、やはりコンサートはお互いの心と人生を豊かにするために必要不可欠なもの。そう言えるのではないだろうか。