藤井画廊 第9回

FUMIYARTには、ボールペン画という手法がある。グルグル~、グチャグチャ~とボールペンで線を描いて絵にしてゆく画法は、今のところ他で見たことがなく、自分の唯一のオリジナル手法だと思っている。今後も続けていくつもりだ。
このペン画を、マーカー(マジック)でやったみたらどうだろう? と、ずっと思っていた。ボールペンより線が太くなるので、さらに面白くなるのではないか。それを試してみることにした。

まず、線が太いということは、ある程度大きな絵にする必要がある。マーカーの色は時間とともに薄れてゆく可能性があるので、それを食い止めるためコーティングが必要だろう。となると、描くのは紙ではない方がいいかもしれない。マーカーならキャンバスにも描けるのではないか。数種類の油性マーカーを買い、コーティング剤を塗っても滲まないかどうか試した。結果、ペン先が良くて色数も多いマーカーDELETER NEOPIKO-Colorに決定。キャンバスに描くつもりだったが、画材屋で紙のボードを見つけた。これならキャンバスより軽いし描きやすい。5ミリ厚ほどの発泡スチロールの両面に紙が貼ってあるもので、サイズも110×80cmと丁度いい。しかもボードなのでコーティング剤も綺麗に塗りやすいはずだ。ものは試しで、これに描いてみることにした。

まずペールオレンジのペンで下描きをし、ボールペン画と同じようにクルクルと描いてみる。最初は薄いパステル画のような色合いだったが、だんだんと濃い色や黒を加えていき、全体的なトーンを暗くした。最初の色も良かったなぁ~と思っても、一旦描いた線はもう後戻りできない。予想通り線の太さが面白い。かなり大胆な仕上がりになった。なんと3日で1作品を描き終えた。こんなに簡単に早く描き上がっていいのかと自分でもびっくり。絵の具と比べると10%くらいの労力ではなかろうか。これでマーカーを完全に習得した。
仕上げのコーティングは、毛の柔らかい幅広の筆でバーニッシュという保護剤を5回ほど重ね塗り。全体的にムラなく空気が入らないように塗るのが、なかなか難しかった。
もともと試作のつもりだったが、マーカーペン画の第1号としては、まあまあの出来栄えとなった。ん……いい感じだとは思うが……ちょっと目が大きかったかなぁ~。次はもっとしっかり構図を考えてから描くつもりだ。