2022年
2022年になった。寅年であり年男、そして本厄でもある。7月にはとうとう60歳。世間で言うところの還暦となる。
気持ちはいつまでも若いのだけれど、肉体の方は徐々に年相応になってきている気がする。ただ見た目の老化は、同級生に比べるとややスローテンポだと思う。ステージに立つことが精神面でもアンチエイジングになっているのかもしれない。
歳をとったなぁと思うのは、いわゆるZ世代が本格的に創る時代に自分は付いていけるのだろうか?と感じてしまうことだ。Z世代とは、1990年代後半~2000年代生まれの人類。すでに社会のデジタル技術が発達しており、生まれた時点でインターネットやオンラインが普通にあった世代を指す。
ちなみに、1960~1970年代生まれはX世代と呼ばれる。Z世代からすれば、X世代は石器時代ぐらいの旧人類かもしれない。私もスマホやパソコンを使ってはいるが、完全には使いこなせていないし、なきゃないでどうにかなると思っているし、なんなら全部なかった時代の方が好きだったりする。そう思えてしまうことが、やはり石器時代だと思う。同じX世代でも、多くのビジネスパーソンの方が私よりよほど適応しているかもしれない。会社組織自体がデジタル化している中、社員もそうならざるを得ないからだ。もちろん私の周辺もデジタル化は進んでいるが、自分は「歌手」というアナログでも平気なポジションなので、比較的のんびりしている。
今くらいのデジタル化が自分にはギリギリだなぁ。5Gも、私には本当に必要なのだろうか?と思ってしまう。すっかり社会の情報源もエンタメも買い物も予約もインターネットになり、キャッシュレスも進み、人との対話はSNS。いくら最初は操作が複雑でクールに感じても、たしかに使ってみれば便利なことが多い。どうにか頑張って付いていくしかないと観念している。
世界も、この10年でかつてない多くの変化を味わうだろう。中国がアメリカより大きな権威を持つ国になる可能性があるし、AIもさらに進化し、車は自動運転となり、工場はほぼロボット、そして気候変動による地球環境の変化も予想される。Z世代が社会の中心になる頃には驚異的な変化が起きており、私は60代でその時代を経験することになるだろう。なんだか凄い時代に老人になるのだな。
なんにせよ60歳となる今年は、今後の生き方を考えるいい節目だ。これからの10年、何が本当に大切で、どう楽しく面白く生きてゆくのか。人生は、よりシンプルになってゆくだろう。まず不必要なものをなくす。歳をとると何でもおっくうになるから、そうなる前に整理しなければ。10年以内には、新しい子孫が誕生する可能性もある。それは新たな未来になるだろう。また、年上の知人を見送ることも増えるだろう。ある程度は順番でもあるからしょうがない。もちろん私の見た目も変化してゆくはずだ。
思い通りに体を動かして好きなことを自由にし、発想を行動に移す力があるのは、あと10年くらいかもしれない。70歳から先はおまけというか、神様から与えられる寿命。80代まで生きられれば自分としては充分な気がする。50代もあっという間だったので、ここからの10年間もそうだろう。もっと加速するかもしれない。焦ってもしょうがないが、悠長でもいられない。というわけで、あと10年は好きなことだけをやるしかない。好きなことと言っても、自分のためだけでなく、人のためにという気力がまだまだある。
ひとまず10年ぐらいは“藤井フミヤ”な気持ちで頑張るつもりだが、そこから先はフミヤを引退して“郁弥”に戻ったりすることもあるかもしれない。もちろんまだ歌が歌えるのなら歌うし、絵が描けるのなら描く。それくらいの体力は維持するつもりだ。まずは大病を患わぬことが何より大切だろう。どこかが壊れてちょこちょこメンテナンスするぐらいは、当たり前である。
だが実は、不思議なくらい未来に不安がない。なるようにしかならん!という気持ちもあるが、なぜ不安がないのか。それは、これからの10年もみんなと共に生きてゆくことは明らかだからだ。それが私を生かすPOWERになっている。
というわけで、2022年もよろしく頼みます!