Fumiya’s Favorite ー 「アメリカン・グラフィティ」サントラ盤のレコード

「いいと感じたものは、FFメンバーとシェアしたい」。
そんなスタンスで、フミヤのおすすめ&お気に入りをご紹介するコーナー。
今回フミヤのアンテナがビビッととらえたのは、こちらです!

「アメリカン・グラフィティ」サントラ盤のレコード

この間、プロモーションで札幌に行った時、とあるカフェでテレビの収録があり、その店の2階がレコード屋になっていた。見ればすべてがサントラ盤で、しかも中古品ではなく新品。そこで「もしかして『アメリカン・グラフィティ』があるかな?」と探したら、ありました! 当然、即購入! しかも新品という奇跡! 人生であんなに聴いたレコードがあるだろうか。自分が青春時代に一番聴いていたレコード。映画「アメリカン・グラフィティ」の世界観は、チェッカーズの土台になっている。バンド時代からのファンは当然それを知っているし、映画もとっくに観ているだろう。大人になった今、あらためて観てみるのも楽しいかもしれない。

実は、少し前に知り合いからレコードプレーヤーとスピーカーシステムをいただいた。「フミヤ君、ステレオ要るかい?」と聞かれ、「要らないのなら、もらいますよ」と気軽に言ったはいいが、届いたら「なんだこれ!」と驚くほどデカいし高価なもの。1年くらい自分の部屋に置いたままだったのを半年ほど前にアトリエへ移動させ、音響に詳しい知人にセッティングしてもらった。まだあまり音を出していない。今までレコードを聴いたり集めたりする趣味はまったくなかったのだが、これを機にレコードを聴くことを新たな趣味にしようと思っていたところへ、たまたまそのレコード屋があったのだ。しかも、ちょうど「十音楽団 ~青いレーベル~」をやっているタイミングで、自分にとっての“青いレーベル”に出会ったのである。

たしか、実家で最後の片付けをやった時に……アメグラのサントラ盤は捨てずに段ボールの中に入れたと思うのだが……どこにいっちゃったかなぁ~? まぁ、新しいステレオで新しいレコードを聴くのも新鮮な気持ちになれるだろう。まさかこのステレオで、最初に「アメリカン・グラフィティ」を聴けるとはねぇ。

ジャケットのビニールを外して、丁寧にレコードを取り出し、ターンテーブルに載せる。そっとレコード針を落とすと、レコードノイズが心地いい。1曲目は、Bill Haley & His Cometsの「Rock Around the Clock」。ドラムからのイントロが弾けて流れ出す。この時代のレコーディングは、スタジオのひとつの部屋の中でバンド全員が演奏し、当然歌も一緒に歌っている。録音マイクを何本立てているのか分からないが、当時の録音チャンネルはそんなにない。つまりみんなで演奏して、その1テイクを録っているのだ。演奏は完全なライブだし、どこにドラムがいて、どこにギターがいて、どこにボーカルがいて……という距離感も伝わってくる。まるで自分がスタジオの中に座って見学しているような気持ちになる。そんな古き良き時代のR&Rのリアルな音が、目の前のスピーカーから流れてくる。ああ、やはり音楽はタイムマシーンだ。当時のいろんな思い出が、くるくると回り出す。まさに俺の“青いレーベル”だ。