彩事季 ー 魂ってなんだろう?

魂ってなんだろう?

椅子に座り、綺麗な空を眺めてのんびりする。
禅のように自分自身に問いかける。
魂ってなんだろう?
はたして魂は存在するのか?

魂とは……そんなことを、誰しも一度は考えたことがあるはずだ。魂なんてない、と言い切れる人間は少ないだろう。日本語辞書で「魂」を調べると、「肉体に宿り心を司るもの。肉体から離れても存在し、死後も不滅で、祖霊を経て神霊になるとされる。自然界の万物に宿り霊的な働きをするもの」などと書かれている。英語では「Spirit」「Soul」。きっと世界中の言語に、魂という単語は存在する。それだけ多くの人類が、魂というものがあるという感覚を共有しているのだろう。

魂……心とは違う。魂……命とも違う。心は、体が触れたり感じたり頭で考えたりした時に、何らかの感情を生むもの。命は、肉体が生きている間の生命のこと。肉体は、人間あるいは地球上の生物の物質的な部分。人間の寿命は、人にもよるが約90年以下。そして命がある間、肉体の中に宿るのが、魂。自分のイメージとしては、無機質で無色透明な光の玉のようなものが、上半身の真ん中あたりにあるような感じ。

魂が命ある肉体に宿るわけだから、そこには何らかの「意志」があると考えられる。ということは、生まれる以前からの根源的な意志だと言える。魂が、肉体を得るという目的を持って、どこからか飛来してくる。意志なのだから適当に生まれるのではなく、誕生するための肉体を選び、その中に宿る。当然、目的に適した環境の人間を選ぶはずだ。

では何のために? それは何かを成し遂げるため、もしくは何かを学ぶため。そう考えるのが、ごく自然だろう。生きているということは楽しいことばかりではなく、苦労や辛いこと、悲しいことも多々経験する。肉体=体験。一回の命で成し遂げられない場合は、何度も生まれ変わってトライするのではないか。いわゆる輪廻転生というやつだ。

となると自分の魂もこれまでにいくつもの肉体を経験し、何度も死んでいると考えることができる。そう考えると死は怖いものではなく、肉体という服を脱ぐようなこと。あるいは肉体が車で、魂はそのドライバーのようなもの。生まれ変わってまた別の人間として誕生するのは、ドライバーが新しい車に乗り換えるような感覚かもしれない。そもそも、死というものをよくよく考えてみると、それは辛いものだろうか? 苦しいものだろうか? あくまで生きている肉体が辛く苦しいと感じたりするだけで、死んでしまえば魂は肉体から解放されたことになる。むしろ肉体を脱いだ時、魂は「ハァ~、やっと脱げたよぉ~。これ重かったなぁ~」と思うのかもしれない。肉体の中にいる魂よりも、肉体から離れた時の魂こそが、本来の己ということになる。
さらに、魂は単に地球的・人間的な命ではなく、もうひと回り大きな次元の命が存在するのではないか。宇宙のイメージで考えると、例えば地球的な魂は地球の円の中で学ぶ。肉体を離れた魂は太陽系の円の中で学ぶ。さらに上の次元の魂は銀河系の円……と、どんどん大きな円になる。もしかしたら太陽系外まで到達できた魂を、神とか仏と呼ぶのかもしれない。生命とは“生きている間だけのもの”というとらえ方は、あくまで人間の考えであって、それよりもっと長い、魂という次元の生命体が存在してもおかしくはない。魂よりさらに上の次元の、神や仏のような生命体の存在も否めない。まぁ自分の中で今あらためて魂について考えた結果、そんな結論に至った。

さて! だとしたら、私の魂はどんな意志を持って「藤井フミヤ」という人間に宿ったのか?という話になる。
今のところ、自分の意志(魂)がやっているのは「歌を歌う」という役割であること。歌うことが自分や自分以外の人にも幸せをもたらすなら本望だ、と感じていること。どう考えてもこれしか浮かばない。これを納得できるまでやり続け、やり遂げたなら、もう私の魂は次に人間に宿り学ぶことはないのだろうか? 次の高い次元へ上がれるのだろうか? 
いやいや、まだやり残したというか、もっとこうなりたいという希望がある。例えば、世界中の人と自由に会話がしたい。そのためには世界共通言語である英語を勉強しなければならないが、まだそれを怠っている自分がいる。また、日本人に生まれたからこそ、日本の素晴らしい文化を先人たちから受け継ぎ、次世代へ継承したいと思うが、勉強不足である。これらが心残りなまま死んだとしたら、次は、英語を喋る京都人にでも生まれ変わるのかもしれない。まぁ、それでも「歌う」ということで今世の70%くらいの意志は達成できているのかも。

とにかく、私の魂はまだまだ発展途上な気がする。つまり次も人間として生まれる次元の魂。前世でも歌っていたような気がするが、次に生まれ変わっても、また歌っているような予感だけはしている。

もしあなたが同時代に生まれ変わったとしたら、たぶん次の私もどこかで歌っていると思うので、気付いてくださいね。