FF SPECIAL INTERVIEW

歓声を浴びて「これだよ、これ!」
ライブ本来の形が戻ってきた

最新アルバム『水色と空色』を軸に、三つ星ランクのラブソングが揃った「Special LoveSong」ツアーは、スタートするやいなや各地で大好評。
フミヤの言葉からも、良質なステージを届ける自信と喜びが感じられる。
そんなツアーの手応え、そして40周年ツアーやSpotifyプレイリストについて語ってもらった。

●届けたかったものが届いている
CONCERT TOUR 2023 Special LoveSong

———2月からスタートしたSpecial LoveSongツアー、ここまでの手応えはいかがですか。

フミヤ(以下F):届けたかったものがきちんと届いている感覚がある。計算通りというか、それ以上かも。観てくれた人の感想も、すごく反応がいいんだよ。Special LoveSongは決して派手に盛り上がるタイプのコンサートじゃないんだけど、comu comu内では最初から盛り上がってたなぁ。各地でも、なんとも不思議な盛り上がりを見せている実感があるんだよ。例えば最近行った山形では、ファンクラブ以外のお客さんの割合が高くて、ちょっとまた違う盛り上がりがあった。「うお〜!」みたいな(笑)。そこで普段いろんなアーティストのコンサートを観ている人が、「今まで観たコンサートで一番音が良かった」と言ってくれていたり。もちろん他の会場でも、初めて観てくれた人たちが新鮮に感じてくれているようで、SNSでも好評らしい。

マネージャー:本当にいいライブになっています。山形では客席を見ていて、手がどんどん上がっていく感じがありましたね。

F:久しぶりに歓声が戻ってきたことも、確実に盛り上がる要素のひとつになっているね。初日に歓声を浴びて、「これだよ、これ!」という感じだった。ちょうど初日の数日前に歓声が解禁になった。やっぱり反応が分かりやすいから、こっちもやりやすい。俺にとってもみんなにとっても、歓声がないのが異常で、あるのが普通なわけだからね。ようやく本来のライブの形がほぼ戻ってきて、よかったよ。

———今回の会報ではまだネタバレはしませんが、セットリストもツボをしっかり押さえていて、それこそイントロで歓声が起こったりと、満足感が高い内容です。

F:半分はニューアルバム『水色と空色』で、それ以外は三つ星と言える楽曲。セットリストはニューアルバムありきで考えたから、かなり時間がかかったんだよ。パートごとに場面を分けることだけは最初に決めたけど、ニューアルバムの曲の前後にどの曲を持ってくるかが悩ましかった。『水色と空色』は、ゆるい曲が多くてアップテンポがほとんどない。だからライブ全体としては、座って聴いてもらうのと立って踊れるブロックがバランスよくなるように作った。シングルもバンバン入れたし、なんならシングルだけでもお腹いっぱいなぐらいの充実ぶりだからね。全体的にピュアな世界観で、言葉もストーリーも伝わりやすいラブソングだから、聴く人も受け取りやすいと思う。まさに、初めて観てくれる人にも分かりやすく、“藤井フミヤのボーカル”を堪能してもらえるコンサートになっていると思う。よくフェスに出ると、「TRUE LOVE」を歌うだけで「うわー、本物を聴けた!」とか「藤井フミヤを生で聴けた」って言われる。ある意味今回もそういう感じで、周りの人に「藤井フミヤの歌、聴いてきたんだよ!」って思わず言いたくなるような、2時間たっぷりのお得感はあると思うよ(笑)。自分でも歌いながら「あれっ、もう一番最後のブロックか」って思うから、聴いてる側はもっとあっという間に感じるんじゃないかな。

———そうですね。見終えた後の余韻まで心地よいライブです。今回はバンマスが佐橋佳幸さんですが、12年ぶりとは思えないタッグで曲の魅力が引き出されています。

F:そうだね。バンマスが佐橋くんになったことで、ここ最近のツアーとはまた違う雰囲気が生まれて、メリハリがついたと思う。ツアーが始まってからも、引き続き佐橋くんが細かいところを微調整してくれている。ちょこちょこいじって剪定しているような感じ。

マネージャー:切り込み方やアプローチが違うので、僕ら的にも新鮮な感じがあります。

F:今回のバンドメンバーはベテラン揃いで最初から安定感があったけれど、公演を重ねることで歯車がさらに噛み合ってきたな。なにしろ音のクオリティ、音の厚み、安心感がすごい。当然のことながら同じ曲でもミュージシャンによって音や表現は違うわけで、今回は上質な大人のサウンドになってる。かと思えば、佐橋くんとのトークはめっちゃ面白いしね。大阪では盛り上がって話が横道に逸れすぎて、すでに2日目にしてイエローカードを出されたからな(笑)。

———レッドでなくてよかったです(笑)。演奏だけでなくMCの微調整も必要だったと。たしかにF-BLOODツアーぐらいの掛け合いになっていましたからね。

マネージャー:いやー、ちょっと面白すぎたんで(笑)。

F:もはや佐橋くんは身内みたいなもんだからね。たしかに、控えめにした今ぐらいの方がちょうどいい。ラブソングの世界に浸ってもらうムードは大事だから。地方も含め、思った以上に早くチケットがSOLD OUTになっているのも、ありがたいね。『水色と空色』のアルバムも良かったと思うし、「Special LoveSong」とか「三つ星ラブソングを歌います」という、誰が見てもツアーの内容が想像できるようなネーミングとコンセプトにしたことが大きかったと思う。ようやくコロナも収まってきたから、来られる人も増えたんだと思うし。

マネージャー:あらゆる要素がタイミングよくハマった気がします。何より、いいツアーができると、次のツアーにも必ず多くの方が来てくださるのは実感しています。

———いいものを作ってやり続けている、その結果ですよね。引き続き、これからの公演にも期待しています。

●全部のカードが使える、スペシャルなお祭り
〜40th Anniversary Tour 2023-2024〜

———早くも秋から来年にかけては40周年ツアーが控えています。

F:40周年は、やっぱり特に盛大なお祭りになるだろうね。チェッカーズのデビュー当時からソロ、F-BLOODという全部のカードが混合で使える、スペシャルなお祭り。尚之もバンドメンバーで、二人とも40周年だし。すべての都道府県を回るというのは、バンド時代も含めて初めて。さすがに1ツアーで全都道府県っていうのはなかったからね。あと、チェッカーズ曲をやって歓声が聞けるのも楽しみなんだよな。ACTIONやRED PARTYではみんな歓声を出せなかったから。

———皆さんと一緒に、アクセル全開でお祝いできるライブになりますね。

F:今回やったら、次は45周年……って、その時俺は65になってるからね。いやー、もう徐々にいろいろキテるけど、アルコールの量はさらに減っていくんだろうな(笑)。今もだいぶ減ったけどね。

———健康第一でお願いします。40周年ツアーについては、また次号以降で最新情報を聞かせてください。

●気分やシチュエーションによって楽しんで
〜Spotifyプレイリスト企画〜

———このたびSpotifyで、フミヤさん選曲によるプレイリストが公開されました。フミヤさん自身が発案されたということで、面白い企画です。

F:そう。Spotifyで、俺が選曲した“ベスト盤的なプレイリスト”を公開してみようということになった。自分で選ぶということは前からアイデアとして持っていたんだけど、ちょうど40周年のアニバーサリーということで形にすることにした。

マネージャー:誰もが自分でプレイリストを作って公開できる時代ですからね。

———これまでにシングルやファン投票などのベスト盤リリースはありましたが、今回は誰でも無料で聴けるプレイリストという形態、かつフミヤさん自身によるセレクトというのが新鮮です。どんな風に聴いてほしいですか?

F:気分やシチュエーションによって、好きなプレイリストを楽しんでほしい。40周年だからファンのみんなに楽しんでもらいたいのはもちろん、CDを買ったりライブに来たりしたことがない人にこそ気軽に聴いてもらいたいんだよね。一般的には「TRUE LOVE」と「Another Orion」のイメージが強いから、ここで新たな曲に出会ってもらうことで「藤井フミヤって、こんな曲も歌ってるんだ!」という驚きがあると思う。作ったプレイリストは6種類。まるで6枚組のベストアルバムのように、ドーンと出したら面白いんじゃないかと。それぞれ15曲ずつ。曲数が多いから選曲は大変だった! なにしろポップシンガーゆえに、ロックもダンス系もあって、ジャンルがやたら広い。だから最初にカテゴリーを決めて選曲することにした。まずラブソング系の「TRUE LOVE [Lovers]」と「Another Orion [Lovers]」、そして「青春 [So young]」、「DO NOT [ROCKS]」、R指定な歌ばかりの「女神(エロス)[R15+]」、「タイムマシーン [SUPER POP]」。例えば「女神(エロス)[R15+]」は本当にR指定な歌ばっかりで、どうなっちゃうんだろうっていう(笑)。こういう自由さも、CDではできない面白さかもね。曲順は、プレイリストの場合シャッフルして聴く人も多いだろうから、そこまでこだわらなかった。あんまり深く考えたらきりがないし、どうせ出来のいい曲ばっかり並ぶから。

———プレイリストという形態は、SNSでシェアしたり、周りの方にもおすすめしやすいのもいいですよね。ツアートラックの1台がSpotifyラッピングになるそうですが、これがまたカッコいい。

F:写真もこのために撮り下ろしたもので、完全にアルバムジャケットみたいなデザイン。街で目にした人が興味を持って、聴いてもらえると嬉しいよね。

———このSpotifyやツアーも含め、FFの皆さんには40周年というお祭りを一緒に楽しんでいただきたいですね。

※インタビュー以降に内容に変更が生じている場合があります。ご了承ください。