藤井画廊 第15回  

「コラボレーションアート 下描き」

初めてコラボレーションアート展をやることになった。“二人のアーティストで1枚の絵を描く”という作品の展覧会だ。きっかけは、ギャラリーに空いている期間があると聞いて何かやろうと思ったものの、ツアーの時期なので新作を描く時間はほぼない。でも、どうせなら面白いことをやりたい。あれこれ考えた結果、二人展という形態を思いついたのだった。
友人であるイラストレーターで画家のEd TSUWAKIくんに、二人展として作品を半分ずつ展示しないかと声をかけてみた。すると、どうせやるなら新作を二人で描くのはどうか?と提案してくれ、コラボレーション展をすることになった。二人でリモートミーティングをして「どんなことをやろうか?」「とりあえず何かやってみよう!」。

まず、お互いが画用紙に好きなように絵を描き、それを相手に渡す。つまり「先手」が半分まで絵を描き、「後手」がそれを仕上げるのだ。先手は、真っ白な画用紙に何を描くのも自由。後手は、描かれた下絵からインスピレーションを得て作品を仕上げる。ひとまずこのやり方で4枚描いてみることになった。

というわけで、これは私が先手として描いた4作品の下描きである。本番の画用紙に描くよりも前に、まず別の紙に描いてみたもの(これはラフだが、画用紙に描いた絵はもっと丁寧に描いている。実際の作品タイトルではない)。
①ショートカットの女子 ②目と唇 ③バレリーナ ④幾何学的な裸婦
どれも未完成で「このあとはよろしく!」みたいな無責任な絵である。このあと画用紙に描き直したものをエドくんに渡して、仕上げてもらう。二度描きなしというルールにしたので、相手に渡したらもう手を加えることはできない。後手の方が気楽で面白い気がするが、仕上がりの良し悪しは後手で決まるので責任重大でもある。おそらくタイトルも後手が決めることになるだろう。

エドくんは今回のテーマとして、「その場のインスピレーションで即興で描く」つもりらしい。一方、私は先手・後手どちらの時も、ある程度考えてから描くタイプ。その場のインスピレーションだけで描く手法は普段から好んでいないし、自分らしくない。もしトライしたとしても、結果的に時間をかけて細かく描いてしまうだろう。計算してないようで、している。計算しているようで、していない。丁寧に描くのが私の持ち味なのだ。

さて、私の描いた4枚の下描きに、エドくんがどんな絵を描き足してくれるのかワクワクする。そして自分もエドくんの描いたものに手を加えて完成させる。後手はお互いに、相手が想像もしなかった絵にしようとするはず。そこが今回のコラボレーションアートの醍醐味だ。今回は下描きしか掲載できないが、むしろこの段階を見られるのは貴重かもしれない。次号では完成形を披露できると思うので、お楽しみに!