FF SPECIAL INTERVIEW

引き続き、40周年ツアーで全国に歌を届けているフミヤ。
大晦日は紅白歌合戦で楽しませてくれたかと思えば、2月には文化庁「芸術選奨」を受賞。
その活躍ぶりは、FFというコミュニティ全体の誇りとなり喜びとなって、ポジティブなパワーを循環してくれている。
各ニュースや進行中のツアー、そしてF-BLOOD新曲「Story road」など、“いい流れ”に乗っているフミヤに語ってもらった。

フミヤ(以下F):ありがとう! 40年間ずっと歌い続けてきて、伊勢神宮とか万博とかいろいろ経験させてもらい、アートもやってきて、ここへ来てご褒美をいただいたんだなと。国から大衆芸能のお墨付きをいただいたわけだからね。紅白出場が決まった時も周りから「おめでとうございます」ってメッセージがいっぱい来たけど、今回もたくさんもらったなぁ。発表されるやいなや、comu comuにもお祝いコメントが殺到して、ありがたかった。面白いのが、普段から藤井フミヤのファンということを家族や職場の人に話している人が多くて、今回のことで周りから「おめでとう」と言われるんだって。まるで自分がとったように(笑)。それがすごく嬉しい。実際にcomu comuにも書いたけど、この賞はFFがとったようなものだよ、と。本当にそう思う。

F:まずは意外だったよ。「えっ、本当? 俺?」みたいな。過去に小田和正さんが受賞されたのは聞いていたし、賞の存在は知っていた。坂本龍一さんとか、なるほどと思う顔ぶれで。でも、自分がいただくとは思っていなかった。誰がどうして俺を推薦してくれたんだろうね?(笑) もうそろそろ俺のファンが、選考委員とか官僚とか、それなりの立場になっている可能性もなくはないけど(笑)。あと、さすがに今回は、親が生きていたら喜んだだろうなぁと思った。こういうちゃんとした賞をいただいたよ、と。30周年の時に久留米市からは文化章をいただいて、40周年で初めて国から。

F:いつも言うけど、歌手というのは聴いてくれる人がいないと成立しない。ファンや周りのすべてに感謝しつつ、これからもしっかり歌い続けるよ。

F:本当にいいツアーになっていて、おかげさまですごく反響もいい。長いツアーだから途中から変化を付けたくなるかもと思っていたんだけど、それが、やっていて全然飽きることがないんだよね。本数は多いけれど、集中度が高くなっているというか。毎回毎回、今日はどこまでいいライブができるか、どうすればさらにクオリティの高いステージを届けられるか、ということを追求している。バンドメンバーも同じ感覚で、一体感があるんだよ。週末がライブで、帰ってきてメンテナンスをして次に備える日々。しっかり休むから、体力的にも問題なくやれているよ。あと彩事季でも書いたけれど、今回のツアーでは、遠征してきてくれるFFが明らかに増えているんだよね。comu comu内でも、それをリアルに感じる。長年のファンだけど今回が遠征デビューです、とか、勇気出して一人で行ってきました、とか。あと、子育てが落ち着いたから数十年ぶりにライブ復活、というケースもある。そういう久しぶりの人は、「えっ、フミヤ変わってないじゃん!」という驚きが大きいらしい。FFも、よりファン同士が楽しんでくれるコミュニティになってくれることが一番いいよね。遠征を一人で楽しむのもいいけれど、FF仲間と一緒なら、さらに楽しめる部分もあると思う。

F:基本的には、今やっている60本のツアーに加えての、スペシャルな武道館。まずセンターステージということが特別だし、すべての軸になってくる。それに合わせて照明やステージも変わってくるからね。ライブの内容も、ちょっとスペシャル感のあるものにするつもり。今のセットリストが基本だけど、武道館だからこそやる曲というのも出てくるだろうし。俺もすごく楽しみだよ。やっぱり武道館って年一回ぐらいはやれるといいんだろうなと、あらためて思ったりする。武道館は、今年のひとつの節目。現時点の目標地点として、健康と体力を維持してツアーを走り続けるよ。40周年ツアーをこれから観る人は、引き続き楽しみにしてもらえればと思う。

F:「旅サラダ」のテーマソングだから、今回も朝にふさわしい、前向きで明るい雰囲気の曲。旅を題材にしていて、ポップで軽やか、かつピュアな明るさがある。番組とのタッグもいい感じで、いい形でご縁が続いていてありがたい。

F:青森ロケは楽しかったけど、やっぱり藤井兄弟は寒いところは向かないってことを痛感したよ。寒さで身体も縮んじゃうし、朝からよっしゃー!みたいなハイテンションになれないのは、やっぱり九州人だからかな(笑)。でも、北国で夜に日本酒を飲むのは最高。なんとも温もりがあって楽しかったなぁ。作り手としては、この曲に雪のイメージはまったくなかったけれど、あの映像で雪のイメージになってしまったという(笑)。全然構わないんだけど。F-BLOODってさ、前は、ここからもっと渋いロックになっていくだろうなという予想をしていたじゃん。いつかは赤提灯ツアー、みたいな。でも「旅サラダ」の兄弟ロケシリーズによって、世間でのイメージが、予想外に“健全でポップな兄弟ユニット”になってきたんだよね(笑)。番組を観た人から「兄弟で仲良いですね」とか「自然体で和む」と言われることがめちゃくちゃ多い。そして、今回のロケと楽曲のイメージ映像が、またさらに和む感じで。衣装で割烹着やもんぺまで着たけれど、もはや俺たちも別にこだわりがないから、されるがままっていう(笑)。

F:なるなる、絶対なってたよー!(渋い声で)「いや俺たち、そういう感じじゃないんで」とか言ってさ(笑)。でももう、過去の兄弟ロケが放映されるたびにポジティブな反響を感じていたし、昨年のF-BLOODツアーも、カッコつけるより「和む」がコンセプトのひとつになっていた。結果としてロックユニットに“お茶の間感”が出てきたのは、これはこれでよかったと思っている。マニアックなものより、それだけ届く範囲が広がるということでもあるからね。「Story road」は、ちょうどツアーのバンドとレコーディングメンバーが一緒だったから、沖縄からセットリストに追加しているよ。

F:紅白、楽しかったよ!「TRUE LOVE」と「白い雲のように」で、いい感じで出ることができたし、2023年が最高の形で着地できた。とにかく、ファンのみんながものすごく喜んでくれたことが何より。大晦日ギリギリまで藤井フミヤを観る楽しみがある、というのがよかったらしいね。終わったら終わったで、感想で盛り上がっていたし。

F:ほんのちょっとは緊張したような気はするけど、歌うことへの緊張というよりは、特殊な生放送だからだろうね。現場スタッフを見ながら、大変そうだなぁと思ってた。本当に、よくあれだけのことを生放送でやれると思うよ。まあ逆に、生だからこそやれるんだろうけど。「TRUE LOVE」で出る時、スタッフが俺にマイクを渡し忘れるというハプニングがあった。さーっとステージに出て行ったら、あっマイクがない!って(笑)。視聴者には分からない程度だったけどね。うわぁギリギリ間に合った!って、俺的にはちょっと面白くもあった(笑)。「白い雲のように」は、白組の中では視聴率ナンバーワンだったらしい。有吉くんはリハーサルの5倍ぐらい緊張してたんじゃないかなぁ? でもその真面目な姿で、むしろ好感度が上がったようで、友達も「あれを見て有吉が好きになった」って。なんでも、“緊張している有吉くんと、それをサポートする藤井フミヤ”という絵が、お互いの相乗効果でよかったらしいよ(笑)。

F:有吉くんと衣装の色が完全に合っていたのは、まさかの偶然だったんだよ! 俺も驚いた。事前に、「TRUE LOVE」から続けて「白い雲のように」に行くと言われて、マネージャーに「でも、赤いジャケットで『白い雲』はないんじゃないか。上着だけでもパッと着替える余裕はないの?」と聞いたんだけど、「いや、時間的に無理っぽいです」って。じゃあしょうがない、と、あの衣装のまま歌うことにした。そうしたら、まさかの有吉くんが「白い雲」のPV衣装を意識したあのニット。スタイリストの馬場ちゃんも、「最初から二人で揃えたみたいじゃん!」って驚いていた。なんなら、見た人から「フミヤが有吉さんに衣装を合わせてくれたんだ」と思われたりもしていたからね(笑)。

F:そうだね。何人かの人と言葉を交わしたぐらいだけど。エンディングでは、隣にいた石川さゆりさんが手にぬいぐるみを持っていたから、「さゆりさん、何を持ってるんですか?」「干支の龍よ」とかしゃべってた。「知った顔がいると、ほっとするわ」「やっぱり、さゆりさんが津軽海峡とか歌わないと、日本人の大晦日にならないよ」みたいな。そこに後ろから椎名林檎さんが「あのー、お二人は長いんですか?」って(笑)。さゆりさんが「長いもなにも、ねえ?」って、そういう同窓会みたいな会話がなされていたよ。昔は他の歌手の人たちとも、歌番組で会う機会が多かったからね。あと、司会の橋本環奈ちゃんは本当にすごかった。全然緊張しないような感じで、なんでもさらっとやれちゃうんだから。紅白はやっぱり贅沢な番組だよね。これぞ日本の年越しという時間を現場で過ごせて楽しかったし、ファンのみんなに楽しんでもらえてよかった。

F:それにしても40周年の一年、いろんな意味で濃いなぁ。もう2024年も2ヶ月が過ぎたからね。2月だけでも、「旅サラダ」ロケやツアー再開、それから芸大展にも行ったし、美術系のラジオにも出たし、充実していた。もう3月になって、すぐ春が来て、あっという間に武道館が来るんだろうなぁ。武道館が終わったら、しばらくしっかり休んでから徐々に制作に入っていくと思う。なんか今ちょっと感じているのが、ここへ来て、人生の中でまたいい流れが来ているのかも?という気がするんだよね。還暦ライブを始めとして、いい波が続いている感覚。40周年ツアーの手応えもだし、紅白や文化庁芸術選奨のこともそう。せっかく来た波にはありがたく乗っておこうと思うし、この波に乗って70まで行っちゃえ!みたいな気持ちでいる。今のツアーで、全都道府県を回りながら得たものもたくさんあるから、すべて今後に繋げていくよ。