みんなの地元に足を運ぶことで、津々浦々まで歌を届けられる
40周年アニバーサリーツアーに続き、来年も47都道府県ツアーが決定!
オフ中とはいえ、すでにツアーイメージを描きながら過ごしているフミヤ。
今回は、久しぶりのオフを堪能しているリラックス感とともに、ツアーへの想いやファンクラブについても語ってくれた。
●前回入りきらなかった楽曲をたっぷり
———来年4月から2026年7月までの、全国ツアーが決定しました。
フミヤ(以下F):来年のツアーは1年以上かけて、また47都道府県を回ることにした。今回も、チェッカーズとソロとF-BLOODを全部楽しんでもらえるステージになるよ。内容としては、全体的に40周年アニバーサリーツアーの曲違いという感じになると思う。とにかく、前回入りきらなかった楽曲をたっぷりやりたい。なんせ40年分の歌があるから、前回も絞るのが大変だったし(笑)。
———嬉しいニュースですね。40周年も充実のセットリストでしたが、ファンの方は、それを観たからこそ「あの曲も聴きたい」というのも出てきたでしょうし。
F:そうなんだよね。ちょっとでも聴くと、当時の記憶の蓋、思い出の蓋が開くからね。もちろん代表曲はダブるものもあるけど、それ以外はなるべく違う曲を楽しんでもらえるようにセットリストを組み立てていくよ。バンドメンバーも前回と一緒だから、本当に“全国2周目“という感じだな。今、ツアータイトルを考えているところ。全国に「もう一回行く」ということを入れられたらいいかなぁと。そろそろコンセプトやセットリスト、それを元にしたステージセットや衣装も含めて、どういう見え方に作り上げていくかを考えていかなきゃいけない。ちょっと大人っぽくしてもいいのかな、とか思ってもいるんだけどね。
———こんなに早く、再び全都道府県に挑むとは思っていましたか?
F:そもそも、ああやって47都道府県を回るツアーは40周年だからこその企画だったし、最初で最後のつもりだったんだよね。でも実際始めてみると、すごく手応えもあったし各地で喜んでもらえた。それで全国を回りながら、これはぜひまたやりたい、というか、やるべきだな、と考えが変わっていったんだよね。40周年の年はツアー以外にもさまざまな要素が重なって、ありがたいことにすごく盛り上がった。その波にまた乗っていくというか、いい感じの勢いみたいなものもあるから続けてやりたいなと。前回、60代にして全都道府県に挑戦したこと、そしてやり抜いて達成できたということ。その実績ができたことは非常に大きかった。やってみたからこそ分かったことや得られたことがたくさんある。まず何より、年齢的なことを考えてやらないと、とんでもないことになるぞっていう(笑)。やっぱりツアー終盤は蓄積疲労もあったからね。前回は、考えるよりも決めてやっちゃえ!という勢いがあった。それはそれでよかったんだけど、一回目の経験を次に生かしていくよ。ツアー期間は前回より長いんだけど、スケジュールの組み方を含めていろいろ考えている。あとさ、来年また全都道府県をやるとしても、年齢的に次があるかは分からないじゃん。俺が今40代なら当分やれるだろうけど、もはや今後のことを安易に「ずっとやります!」なんて明言できないからね(笑)。とにかく、こないだのツアーが1年かけて、噂が噂を呼んでくれているといいなと思う。観た人が「フミヤ観てきたよ」って周りに話してくれたり「今度は行ってみたい」という人も来てくれると嬉しい。
———その点では、まさに人に話したくなるステージだったと思います。実際、SNSや口コミで知って行きたいと思ったけれどチケットが売り切れていた、という一般の方のお声も多かったので。FFメンバーの皆さんは、周りで興味のありそうな方には、来年のツアーの存在だけは早めにお伝えいただければ……(笑)。
F:そうだよね。そういう感じで、ぜひ楽しみにしてみんなで来てもらえたら。あと、前回の印象からいくと、なんとなく地方公演でまた男性が増えてくれるような気もしているんだよね。ステージから見ていると、地方の方が男性が多いように感じる。やっぱり地元だからこそ来てくれたんだろうな。男女問わず、すでに熱心なファンは多少遠くても来てくれる人も多いけど、まだ観たことがない人こそ「おっ、地元に藤井フミヤが来るんだ」というのがきっかけになるだろうから。まさにそれこそが、俺が全都道府県に行く意味だよね。こっちからみんなの地元に足を運ぶことで、文字通り津々浦々まで歌を届けることができる、聴いてもらえるっていう。
———そうですね。FFメンバーの方も、地元だからこそご夫婦や同級生で来てくださったり、初参加のお友達をお誘いいただいた方が多くいらっしゃいました。
F:そういういい流れを作って、勢いを増していいツアーにしていきたい。またcomu comuでファンと一緒に盛り上がりつつ、全国を回っていきたい。あちこちでFFメンバー同士の横の繋がりが生まれたり、遠征を楽しんでいる様子を発信して盛り上がってくれる感じがいい。グッズの御朱印帳も、遊びで作ったけど意外と使われてたからね(笑)。別に御朱印じゃなくて、日記として「ここに遠征した」とか「この地方でこれを食べた」とか、ライブの感想を書いてもいいわけだからね。まだツアーまでしばらくあるけど、身体も錆びついてるだろうから、始まるまでに錆を落として油を差して磨かないとなぁ。
●久しぶりのオフを満喫
———武道館以降、基本的にはほぼオフということですが、どのように過ごされていますか。
F:少しは仕事もしてるけど、基本的に年内はゆっくり。でも、せっかくの休みに入ってすぐに足の指を骨折しちゃったんだよ(笑)。だから結局1ヶ月ちょっとは歩くのも遅めで、運動ゼロの状態だったね。もうほぼ治ったし、そろそろ走っても大丈夫らしい。でもそれまで怒涛の40周年だったから、逆に何もできずに家にいたのもよかったかもしれないけどね。未完成だった絵を描きあげることもできたし。ただ、本当はもっと服や本棚の整理がしたかったんだけど、そっちは全然やれていない。今年中にやろうと思ってたんだけど、もう気長にやっていくことにした(笑)。あとは、意外と旅行づいてるよ。さっと2泊3日程度の感じで、月1回ぐらいはどこか行ってる。上高地とか、道後温泉、広島や久留米にも行ったしね。だいたい神社とか温泉とか、目的を決めて行き先を選んでる。福岡は野球と絡めたりして。最近はウォーキングとか、ちょっとジムで泳いだりとか再開し出した。あと、会食とかで人と会う機会はけっこう多いかな。ツアー中は忙しかったから。あっ、そうそう、井上尚弥くんのボクシングを観に行ったんだよ! 知り合いが誘ってくれて行ってきた。
———前号で一緒にカラオケに行ったと話されていた、井上選手の勇姿ですね。
F:そう。事前に一応「観に行くから頑張ってください」ってメッセージ送ったら、ちゃんと返事くれたよ。「フミヤさん観に来るなら、気合い入ります」って(笑)。ボクシングの試合は前に後楽園ホールで観たことがあるんだけど、アリーナクラスの会場で観るのは初めてだった。俺の席はアリーナエリアだったから、リングまで10数メートルぐらいだったかな。すごい迫力だった! 野球やサッカーはフィールドを広く使うから、外野席とかスタンド席の後ろの方からでも見えるじゃん。でもボクシングって狭いリング内でやるから、遠い席の人は、ほぼビジョンで見る感じだよね。でもきっとファンは、あの試合を生で観たということに価値があるんだろうなぁ。
———充実したオフを過ごされていますね。
F:そうだね。なんだかんだちょいちょい仕事はしているけど、久しぶりの長めのオフだから満喫してる。この夏は熱海とか舞鶴で花火も見たよ。山はとりあえず行ったし、海はまだ入ってないからこれからだな。そう考えると、気付けば夏らしいことをいろいろやってるな。スイカも食ったし、夏を満喫(笑)。でも本当に暑すぎるよなぁ。道後温泉に行った時も、昼間は暑すぎて歩けなかったんだよ。10月はちょっと忙しいんだよね。久留米のフェス(8×8 MUSIC FESTIVAL 2024)とかロケも入ってるし。その頃にはようやく暑い夏が終わって、秋が来るんだろうな。秋はまたどこか国内旅行に行けたらいいけどね、紅葉も綺麗だろうし。
●展望
———オフといっても、すでに頭の中ではツアー準備に入られていると思いますが。ちなみにツアー以外に、曲作りや他の活動などの展望はありますか?
F:そうだな、アルバムもそろそろ作りたいなとは思ったりしてるんだけどねぇ。でもそれは、1年ぐらいかけて作るのでもいいかなって。例えば来年ツアーが始まっても、基本的にライブはほぼ週末だから、平日に制作しようと思えばやれるかもしれないし。ツアー以降は、まだ全然分からないけれど、またF-BLOODとかやってもいいかもしれない。
———ファンクラブ限定ライブ「CORE」も、そろそろ観たいですね。
F:うん、COREはいいよね。ツアーのベストナンバーとは別に、FFならではのマニアックな選曲で。そうだな、今までのCOREはノリノリな感じだったけど、逆にカルテットみたいなスタイルで座ってゆっくり観てもらうとか、そういう変化があっても面白いかもな。
———ああ、それはぜひ観てみたいですね。フミヤさんはアナログもデジタルも弦でもいけますから。
F:そう、やろうと思えばいろいろやれるから。もちろん久しぶりだからノリノリでもいいのかもしれないけどさ。あとは、機会があればまた久しぶりにオーケストラ公演もやりたい気もしている。
———最近ファンクラブに入られた方は、まだCOREもオーケストラも観たことがない方もいらっしゃるかと思います。
F:ああ、そうか。そうだよね。とくにCOREのFFだけのノリは他にはないからな。しばらくやっていないけど、ぜひまたやりたいとは思ってるよ。
●みんなに楽しんでもらえるのが一番
———ファンクラブということで言えば今年で発足30周年ですが、長年の会員の方も、新規や再入会の方もいらっしゃいます。とくに再入会の方は、会員限定SNS「comu comu」での密接なコミュニケーションやWeb会報の便利さなど、過去になかったサービスを新鮮に感じていただいています。例えば会報も、印刷物の時代は年に4冊の会報をお送りしていましたが、入会以前のものはバックナンバーを購入しない限り読めなかった。でも今入会されている方は、Web化以降のすべての号をお読みいただけます。
F:それは大きい違いだよね。それに年に一度はちゃんと冊子にもなるから、手元に置いておけるし。あと、comu comuも、俺の日記を遡って最初から全部読んでもらうことも可能だし。やっぱり、せっかく入ったからには、あらゆるコンテンツを楽しみ尽くしてほしいよね。
———comu comuもFFにおける大きな軸となっています。コロナ禍も常に繋がっていられる場でしたし、40周年ツアーでも皆さん活用してくださっていました。手頃さもあり多くの方にお楽しみいただいています。フミヤさんにとっては、どういう場ですか?
F:やっぱり、読んでくれる人がいると思うから書こうと思うし、自分も楽しめる場でもある。やっぱり自分自身が楽しんで書いていないと続かないよね。ただ、書き始めるとついつい長文になっちゃうからなぁ。最近の人は長文読まないじゃん。短い方がよしとされる。でもやっぱり、LINEとかで2〜3行のメッセージを送るのとは違うから。それに俺は基本的にパソコンで書くからね。スマホだったら絶対短い文章になると思うけど、パソコンだからこそじっくり書いてしまうというのはあるね。そして、どうせ書くなら、ある程度読んでもらえるものを書こうという気もあるし。あと写真も、いい景色とか面白いのものは「これ、見せてあげたいな」と思うからさ、可能な限り入れるようにしているんだよ。あとそうそう! 面白いのがさ、comu comuを通じて、俺自身についてのいろんな情報が知れるのよ(笑)。例えばこの間、ウォーキング中に「TRUE LOVE」のPVに出てくる、“俺のことを彼女が待っているシーン”の撮影で使った場所まで行ってみたんだよ。そこで写真を撮って、comu comuに「どこでしょう?」って載せたら、最初は地方の子が「東京のそんな場所は分かるわけない」みたいになってたんだけど、途中で一人が「『TRUE LOVE』のPVですね」って(笑)。そしてPVに彼女役で出ていた女性のことを、あの子は今頃どこで何してるんだろうって書いたら、すぐに調べてくれた人がいて。彼女は結婚してすぐに競輪選手の旦那さんが半身不随になっちゃったんだって。そのリハビリのためにパン屋を作ったら予約何年待ちとか大人気になって、出版や講演活動もしているらしい。そして今もHPのプロフィールには「藤井フミヤ『TRUE LOVE』彼女役」って書いてあると。そんなことも、comu comuから知ることができた。他にも、河口湖スタジオが今はキャンプ場になってる、とかさ。みんなのおかげで、思いがけず自分自身や周りに関する情報を知ることができるんだよ。
———そういうリアルタイム性や双方向性は、やはり会員限定SNSならではですよね。また、2021年12月にスタートした会員限定YouTube生配信「F会」も、毎回盛り上がっています。
F:F会は、より身近に感じてもらえる場だよね。ライブ配信を通して直接ファンに語りかけるラジオみたいなもの。一方的にはならないように、事前にもらった質問に答えたりしてるし。F会中に入ってくるコメントは凄まじいスピードで流れていくからなかなか読めないけど(笑)、それだけ盛り上がってくれているのは嬉しい。ドリンクでも飲みながら、一緒に飲んでいる感じで気楽に参加してほしい。やっぱり、こうやっていろんな場があると、みんな喜んでくれるよね。ツアー以外の時期にも、あの手この手でコミュニケーションできるわけだから。とにかく、みんなに楽しんでもらえるならそれが一番。FFというファンクラブは、いろんなことをやっている方だと思うね。
———フミヤさんの魅力をお届けする手段が複数あることは大事にしています。何よりフミヤさん自身が積極的に発信いただいているのが大きいですね。ところで今回の「彩事季」は、「真面目ストレス」というタイトルでした。フミヤさんの長所のひとつがその“真面目”だとは思いますが。
F:そうね、今の時代にストレスを感じるというのは、ある程度しょうがないことだよね。昔は昔で今とは違うストレスがあっただろうし、ストレスの内容も時代によって変わっていく。世間では次から次にルールが決められていくし、基本的な部分を踏まえた上で、自分の自由も大切にしていくしかない。アートにおけるアーティストとは違って、俺ら音楽家はどうしても聴衆ありき。相手がいる職業だからね。画家みたいに奔放に自己表現できるような人生は送れないんだよ(笑)。もちろん画家も、売れちゃったら基本的に同じ画風を描かなきゃいけないというジレンマはあると思うけど。でもまあ、真面目なだけじゃなく個人の自由さも大事にしながら人生を楽しんでいきたいよね。
———今回、会報の原稿も“真面目”に早々にいただき、ありがとうございました。
F:いえいえ(笑)。オフ中にいろいろ絞り出してね。そう、「F’s RECIPE」の「卵かけご飯」もゼロからアイデアを絞って作ってみたんだけどさ、美味しくてあれから何度も作ってるよ!
———あのレシピは傑作ですね。フミヤさんのマルチぶりを、会報では今後もさまざまなコーナーでお届けしていきます。また次号以降で、来年のツアーなどについてお伺いできればと思います。ありがとうございました。
※インタビュー以降に内容に変更が生じている場合があります。ご了承ください。