藤井フミヤの歌の旅、”FUTATABI”
期待して待っていてもらえれば!
2024年、40周年アニバーサリーツアーという一大プロジェクトを着地させたフミヤ。
来年の”FUTATABI”ツアーへの想い、そして最近のイベントライブ出演や故郷の様子など、思うままに語ってもらった。
●47都道府県ツアー 2025-2026 FUTATABI
———前回のF会(会員限定YouTube生配信)で発表されましたが、来年からの47都道府県ツアーのタイトルが決定しました。
フミヤ(以下F):再び全国の皆さんのところへ行きますよ、ということで、”FUTATABI”。ローマ字を“F-UTA-TABI”で区切ると、“藤井フミヤの歌の旅”になる。今度のコンセプトは全都道府県に「もう一回行く」「2周目」ということ。そこまでは早目に決まっていたけれど、それをどういう言葉で表現しようかとスタッフといろいろ考えていた。うちは家内制手工業みたいなもんだから(笑)。それで最終候補が“FUTATABI”と“AGAIN”になって、両方をロゴにして並べてみた結果、”FUTATABI”にした。見ての通りオリジナルワードではなく、普通の日本語をローマ字にしただけなんだけど、この“F-UTA-TABI”という考え方は誰もやっていないからね。コンセプト通りで分かりやすいし、デビューから現在までの歌の旅でもある。FはFANの頭文字とも共通するし。
———来年もFFメンバーの皆さんには、歌と旅を楽しんでいただきたいですね。
F:そうだね。40周年ツアーでファンに生まれた大きな変化が、あちこち旅をする人が大幅に増えたこと。すでに来年のツアーに関しても、スケジュールが発表された段階で、comu comuでは旅行を兼ねて考えてくれている人が多い。「こことここに行きたい」とか「この県に行くから現地のFFメンバーと会おう」とかさ。もちろん今までも遠征してくれていた人たちは一定数いたけれど、全都道府県になって一気に選択肢が増えたんだろうね。隣の県に行くとか、実家に帰省するとか、あえて行ったことがない県を遠征先として選ぶとか。
———ギターを持ったツアーのビジュアルも、いかにもフミヤさんが今から音楽を携えた旅に出ていく感じで、素敵な仕上がりです。
F:このビジュアルは、実はツアータイトルが決まる前に撮影して制作し始めていたんだよ。ただ、すでに「もう一回行く」というコンセプトは明確に決まっていたから、ギターケースを手に「今からあなたのところへ行きます」という雰囲気で撮った。そうしたらタイトルが“FUTATABI”に決まって、まさにそのために撮ったようにハマった。何でもそうだけど、やっぱり落とし所をちゃんと決めると、すべてがそこに向かって集まってくるし、繋がって感じられるよね。そうなるようになっている、という感じ。ちなみに写真は8月末のクソ暑い中、革ジャンを着て撮影したんだよ(笑)。天気はちょっとゲリラ豪雨が来そうでヤバかったんだけど、だからこそドラマティックな雲が撮れた。危うい空の様子を見ながら撮影して、終わったら実際に降り出したからね。撮影場所はお台場なんだけど、ちょっと未来感もあって、いい旅立ちの雰囲気が撮れた。ロゴは “FUTATABI”の”UTA”だけ白抜き文字にして、色で“F-UTA-TABI”を分けた。
———文字色を変えることで、”UTA”もですが“F”も独立して際立っています。ちなみにFというアルファベットは、イニシャルであると同時に、FAN、FAMILYなど、フミヤさんが好きな英単語の頭文字でもあるんですよね。事務所やファンクラブの名前を決めた頃にも、それをおっしゃっていたかと思います。
F:そう。FAN、FAMILY、FRIEND、FUTUREとか、昔やっていたギャラリー名のFORCEもそう。FFはそのまんまFUMIYA FUJIIで、FFMは事務所だからMANAGEMENTがくっついている。その上で、「F」には、あらゆる単語の意味も含んでもいるという。
———だから“FUTATABI”は、フミヤさんの歌の旅でもあり、ファンの皆さんの歌の旅でもあると。
●最近の出演ステージ
———秋には、外部ライブイベントへの出演がありました。
F:直近で印象的だったのが、11月のKANちゃんの命日に行われた「KANタービレ〜今夜は帰さナイトフィーバー〜」。すごくあたたかくて、いいライブイベントだった! スターダスト☆レビュー、スキマスイッチ、馬場俊英くん、秦基博くんがホストで、いろんなアーティストがKANちゃんの歌を歌った。KANちゃんは同郷の同学年。でも若い頃は意外と接点がなくて、付き合うようになったのは50代だったんだけどね。「フジイロック」では楽曲提供してもらったりもして。俺は「世界でいちばん好きな人」を歌った。あれは奥さんへの想いでもあり、誰もがパートナーを思えば響く歌だからね。いろんな人に「泣けた」と言われた。こうしてKANちゃんの名曲は生き続けるんだよね。今回の現場では久しぶりにいろんなミュージシャンに会ったけど、スターダスト☆レビューさんとかASKAさんとか、みんな歳をとっていなかった。やっぱり好きなことをやっていることと、ステージに立ち続けているからだろうな。
———そして、10月に遡りますが、久留米百年公園で行われた「8×8 MUSIC FESTIVAL 2024」。
F:あれは、かなりいいイベントだった! 今年初めて行われた新しいフェスなんだけど、記念すべき第一回にお話をいただいて、そりゃ久留米だし、出ないという選択はないよね。自分的にいいパフォーマンスができたというのもあるし、イベントそのものが全体的にすごくいい感じだった。選曲は、地元ということで珍しく「時のK-City」を入れたりして、お客さんも盛り上がってくれたよ。「まさかチェッカーズも聴けるとは思わなかった」って。会場が百年公園だったから、うちのファンはみんな「100年PARK」を歌うと思ってたらしいけどね(笑)。まあ、無理もないよな。でも、あれは俺じゃなくて小竹正人くんが書いた詞だからね。百年公園ができたのは平成元年で、俺はもう久留米にいなかった。彼は用事で福岡に通っていた時によく行っていたらしくて、俺より思い入れがあるんだよ(笑)。このイベントでは、スタッフ15人ぐらいを連れて久留米の食堂に行ったんだけど、そういうのも含めて楽しかった。あと、俺は食べられなかったけど楽屋メシも充実していて、俺がよく行く焼きそば屋も来ていて「おお、中央亭だ!」とか(笑)。地元密着型のフェスはいいもんだね。
●変わりゆく久留米
———今、久留米の街そのものの変化は、フミヤさんの目にはどのように映っていますか。
F:新幹線が通ったことで、久留米は最近、博多のベッドタウンみたいになってきたんだよ。博多まで15分で行けるようになったから、久留米が通勤圏内になったわけ。それに伴って、駅の周りにマンションがめちゃくちゃ増えてきた。新幹線通勤で博多に通う人も、土日は久留米の方がのんびりできるし、食べ物もそれなりに美味しいからファミリー層も住みやすいはず。とにかくJR久留米駅周辺が栄えてきた。一方で、西鉄久留米駅の方がちょっと寂しくなってきたね。JR久留米駅から西鉄久留米駅までは、まっすぐな道を車で10分かからないぐらいなんだけど。
———やはり新幹線というのは、街や経済を大きく変えますね。
F:本当に、がらっと変えるね。あとは、実家の近所にバイパスがもう1本増えた。昔は本当に田んぼしかなかったんだけど、いろいろ開発が進んでいるんだよ。以前、まず田んぼの真ん中にバイパスができて、そこにゆめタウンができた。バイパスができると、両サイドに一気に店ができて栄えるじゃん。最近、同じ規模のバイパスがもう1本通ったことで、また店が増えている。あとは、どこの地方もそうだけど、大きいショッピングモールができることによって、どうしても小さい店は潰れてしまったりする側面はある。でも住民にとっては、モールの方が便利ではあるんだと思う。都会とほぼ同じようなテナントが入っているから、ユニクロとかももちろん入ってるし、スイーツも都会と同じものが買えたりする。あと、地方は東京と違って完全に車社会じゃん。高齢になると免許返納した方がいいと分かっていても、車がライフラインだからなかなか難しいんだよね。だからこそ、モールのような大型施設にクリニックも入っていて、将来的には無人バスが住宅地から往復してくれれば、車を運転せずに買い物も通院も1箇所で済む。今後、必然的にそうなっていくとは思うけどね。最近の久留米は、そういういろんな変化の中にあるよ。あとそうそう、前にBSフジの番組に出たけど、卑弥呼が久留米にいたかもしれないという説。俺はね、久留米はもっと邪馬台国や卑弥呼をアピールしたら盛り上がると思うんだよなぁ。
———邪馬台国九州説ですね。
F:そう。邪馬台国があった場所については、九州説と奈良を中心にした畿内説があるんだけど、九州説において、卑弥呼がいた場所は久留米とも言われているんだって。でもなぜか、ほとんどの久留米人はそのことを知らないんだよ(笑)。もちろんみんな、九州説があることは知ってるんだけど、その中でも久留米が有力だってことは、地元でもあまり知られていない。一応、卑弥呼の墓かもしれないと言われている場所だけは、ちゃんと署名が集まって高速道路が避けて通っているけどね。そこは死守されている(笑)。俺も邪馬台国は九州だと思うんだよ。だってさ、「魏志倭人伝」には、伊都国(いとこく)と奴国(なこく)という、今の糸島や福岡辺りの国があって、その先に邪馬台国があると書かれていたわけ。地理的に言うと、その二つの国のところにちょうど山があって、その切れ目から入っていくと広大な筑後平野が現れて、筑後川が流れている。しかも有明海も近い。そんな住みやすくて豊かな場所に、大きな国が造られないわけがないんだよ。しかも、なぜ久留米かと言うと、久留米で狼煙をあげると平野の全箇所から見える。だから本当に、邪馬台国のあった場所として有力なんだよ。吉野ヶ里遺跡も近くにあるしね。なのに、地元の人はほとんど知らなくてもったいない。
———この際、フミヤさんが自主的に盛り上げちゃったらどうですか。
F:あはは! 本当だよな。俺も邪馬台国は九州にあったと思うから、九州説はこれからも推していきたいところだね。
●来年に向けて
F:身体は動かさないと固まっちゃうから、体力づくりと健康維持のために走ったり泳いだりしてる。今までもウォーキングはしていたけれど、ここ最近は週何回かジョギングをするようになった。それは結構大きな変化かな。少し前にハワイに行った時、最初は毎日ウォーキングしていたんだけど、そのうちジョギングしてそのまま海に入るようになって、それが気持ちよかったんだよね。だから日本に帰ってきても続けてみようと思って、今のところ、いい感じで習慣になっている。朝からジョギングして汗かいて、そのままサウナに入る。これがなかなか気持ちいいし、実際に調子がいいんだよね。それに何を食べても罪悪感がなくて、「今夜食べても、明日走れば大丈夫」と思える。起きてすぐは一瞬、今日はどうしようかなぁ……と迷う日もあるよ(笑)。だから自分を追い込むために、とにかくまずアミノ酸を飲んじゃう。そうすると「もう行くしかない」ってなるから、その勢いでとっとと外に出る。スロージョギングだから速度はすごく遅いんだけどね。他のランナーに、めっちゃ抜かれるもん(笑)。前回のツアーでは、終盤に疲労が溜まってきつかったから、来年に向けて体力をつけておかないと。それに、走るのは身体だけじゃなく、メンタルにもいいしね。ただ、これから寒くなってくると、外ではなくジムで走るようになるとは思うけど。
———会話できるぐらいの速度で走るスロージョギングは、身体にいいと言われていますもんね。
F:そうなんだよね。しかも、走れる距離もだんだん伸びてきた。身体ってすごいよな。いくつになっても心肺機能は鍛えればちゃんと向上するんだなぁと実感してる。前はジムで4キロ走ってからプールで10往復泳いでたのが、20往復できるようになってきたからね。もう少しスピードも上げたいとは思ってるけど、そこはまだなかなか。こうやって日々地道に、来年に向けて体力や健康を維持している。もうこうなると、むしろ早くツアー始まってくんないかなー!と思ってるからね(笑)。もはや、待ち時間が長すぎるという(笑)。
———オフとオンも、0と100ではないですからね。
F:そう。オンに向けてのオフだから。いざツアーが始まってしまえば生活スタイルが完全に決まるから、ルーティン通りに過ごせるという点ではむしろ楽なんだよ。ただ、今はツアー中と違って飲食が自由っていうのはあるけどね。お酒はちょっとなら身体にいいとかも言われるし、願わくば一生飲んでいたいけど。でも、どっちにしろ若い頃ほど飲めなくなるし、翌日が辛くなるから必然的に減る。面白いのが、お酒を飲まないと、肝機能が良くなるせいか痩せるんだよ。俺の場合、食事の時に飲まなければ、食べても太らないという実感がある。日本酒が一番、ちびちびいけるから少量で済む。焼酎とかは、がぶがぶ飲んじゃうからライブ前はダメ。
マネージャー:尚之さんは、日本酒でもがぶがぶいっちゃうんですけどね(笑)。それでも昔よりは弱くなって、酔うのは早くなり量も減りましたけど。
———それはそれでよかったです(笑)。
F:お酒に関しても、いかに健康寿命を延ばすかが最優先だよね。とにかく引き続き、来年に向けて完全なコンディションを作っていく!という意識で過ごしていくよ。来年もいいステージを全国に届けるために頑張っていくから、もうしばらく、期待して待っていてもらえればと。
———年が明けると、徐々にツアー準備で忙しくなり、あっという間に4月の初日がやってきそうな気もします。また会報ではツアーに関する最新情報をお届けしていこうと思います。ありがとうございました。
※インタビュー以降に内容に変更が生じている場合があります。ご了承ください。