藤井画廊 第26回

シングル「ココロ」ジャケット

今回は、久々に発売するシングル曲「ココロ」のジャケットデザイン制作過程をお見せしよう。

「ココロ」は、CDにはならないが、配信用にジャケットが必要になる。ジャケットといっても、WEB上に表示されるので非常に小さい。デバイスによってサイズは異なるが、約2~4cmほどの正方形になるだろう。
LPレコードの時代は、デザイナーはさぞかしやりがいがあったことだろう。やがてCDのサイズになっても、デザイナーは活躍していた。しかし、配信サブスクが主流となった現在、もはやジャケットは切手のようなサイズ感になってしまった。そんな小さなジャケットをわざわざデザイン事務所に作ってもらうのも気が引けてしまう……。
ということで、自分でデザインすることにした。はい、わたくし、デザインもできるシンガーです。もちろん手を抜くわけではないし、安易なデザインにするわけにもいかないので、真面目に考える。

まず、全体をどんなデザインにしようか。今回の「ココロ」は、R&Rなダンスナンバー。若い男女が楽しく踊っているような絵などいいかもしれない。そう考えている時、ふと手に持っていたコーヒーのマグカップの絵が目に留まった。「ん……? これ、いいんじゃないか!」。ずいぶん前にグッズとして作ったマグカップ。男の子と女の子が手を取り合い、踊っている絵が描かれている。さっそくPCで過去のデザインデータをチェックすると、その絵は黒マジックの手描き。マグカップのプリントが1色の仕様だったので、あえて黒のマジックで手描きイラストにしたのだった。
ただ、シングルのジャケットにするとなると、もう少しカラフルな方がいい。色を付けるにはそのままのデータでは使えないため、マグカップの絵をモチーフにしつつ、新たに描き直すことにした。まずは鉛筆で絵を描き写し、細いマジックでアウトラインにする。それをスキャンしてデータにし、Illustratorというデザインソフトで色付けをしていった。

絵の次は、タイトルロゴのデザインだ。「コ」「コ」「ロ」の3文字を日本語の分からない外国人が見ると、直線で構成された記号のように見えるだろう。面白いことに、どうにでもデザインしやすい図形のような3文字なのだ。ただし、いくらでもスタイリッシュなデザインにすることは可能だが、文字として読めなければ意味がない。
最初は、「コロコロコミック」のような立体的な箱形文字がポップでいいのでは?と思った。でも、いくつか作っているうちに、立体的なロゴは合わない感じがしてきた。そもそも小さいジャケット画像においては、細部がよく見えないのだ。もう少し単純でポップなデザインにしよう。
「ココロ(心)」なので、カクカクと角があるよりも、丸い方が優しく感じるのではないか。だが、それだけではただの丸文字フォントになってしまう。もうひと捻り、必要だ。そうだ、ハートを使うのはどうだろう? ココロの「ロ」の中に小さなハートを入れてみた。なかなか可愛いが、小さくなった時に見えるだろうか。「ロ」の中をハートにするのもいいかも? だが、それでちゃんと「ココロ」と読めるだろうか。どうせハートなら、赤にしてみるか……薄めの赤なら読めそうだ。いろいろと試行錯誤を経て2種類に絞り、踊る男女の絵に合うものを選んだ。

今回のジャケットデザインの難しさは、やはりサイズだった。小さい画像になるからこそ、あまり細かいデザインにならないように、何度も縮小してみては文字の配置や色のバランスを調整する。本当に切手のデザインをするような感じだったなぁ。
というわけで、シングルジャケットの仕上がりはこんな感じになった。FFメンバーだけが、会報で少し大きいサイズで観てもらえる作品です!