F’s RECIPE 第47回「日本の食」

「日本の食」

今回は、日本の食について考えてみる。

私たち日本人は、普段から美味しいものを食べている。おそらく他のどんな国よりも、何気なく普通のこととして、美味しいものを食べている。
そもそも、家庭料理がすごい。日々の食卓には、日本食だけでなく中国・韓国・東南アジア・フレンチ・イタリア・インドなどの料理が取り入れられ、日本風にアレンジされて並ぶ。たしかにどれも家庭で作れる料理ではあるが、そんな国は他にない。給食などでも同様だ。
そして、外食のレベルも極めて高い。あなたが行く外食のお店は、どこも美味しいでしょう? 回転寿司でも、海外では高級店の味。気軽で安価な居酒屋やチェーン店でも、味のレベルは十分高いのだ。



最近、好きでよく観るSNS動画がある。訪日外国人観光客が日本のいろいろな食べ物を食べて、その美味しさに驚いたり感激したり、時には涙する。そのリアクションが面白いのと、日本のことを褒められていて気分が良くなるのもあり、つい観てしまうのだ。

彼らは、寿司や和牛はもちろん、トンカツやラーメン、カレー、そしてコンビニのおにぎりや玉子サンド、スイーツやお菓子にまで驚き、感動している。
ステーキや焼肉で霜降りの和牛を口に入れた時の驚愕リアクションは、面白いほど大袈裟である。まず、一瞬目を開いて沈黙。「……噛まずに口の中で溶けた!」という一言がよく聞かれる。家族連れは、ファミレスの“お子様ランチ”に大喜び。海外のレストランに子供用のメニューはほぼないらしい。駅弁にも「アンビリーバブル!」。向こうの駅や列車で売っているランチボックスは、硬いパン・リンゴ・チーズ程度だが、それに比べると日本の駅弁はバラエティーに富んでいる。そして、日本のコンビニは価格に対して味のレベルも高く、和食の惣菜を適当に買ってもどれも美味しい。

海外では、日本ほどいろいろなジャンル・種類の食べ物は食べられない。例えばイタリアに行けば、ほぼ毎日イタリアンを食べることになる。日本は種類が多い上に、他国の料理まで本場に引けを取らないくらい美味しい。ピザ窯がある店のピザには、イタリア人も驚くほどだ。今やミシュランの星の数も、日本が2番目に多い。そもそも日本人は味覚が繊細で味にうるさいし、料理人もとことん突き詰める。出される料理にはおもてなし精神が息づいている。

寿司・鰻・トンカツ・天ぷら・すき焼き・ラーメン・蕎麦などの専門店があるのも独特の文化。しかも創業100年という店もあったりする。食べ物に限らず、世界にある創業100年を超える店の半分以上が日本にあるらしい。

目の前で調理して出すという提供スタイルも、ユニークな文化のひとつ。寿司屋や天ぷら屋、そして庶民的なお好み焼き屋にも見られる風景だ。例えば広島の“お好み村”は、今や外国人観光客だらけ。お好み焼き(外国人にはパンケーキ)もソース味も初めての感覚だろうし、皿ではなく鉄板の上に出されたものを取って食べる行為も興味深いのだろう。

動画内で外国人観光客がよく口にするのが、「日本は綺麗・安全・優しい」。これは日本の文化、民度や国民性を褒められている。
もちろん日本にも悪い奴はいるし、日々いろいろな事件も起きる。それでも世界的に見れば安全で平和で、落とした財布も出てくるし、席取りに荷物だけを置いていくし、薬局やスーパーの前には人がいなくても商品が積まれている。深夜まで開いているチェーン店が多いのも自動販売機があるのも、治安の良さがあってこそ。これほど穏やかな国は他にない。
そんな環境を堪能したせいか、「帰りたくない!」と泣く映像もある。さらに、帰国後にジャパンロスに陥り、食に対してナーバスになる人もいる。自国では、あまり美味しくない料理が高額で、さほどサービスもよくないのにチップを払うことにストレスを感じるらしい。

街が綺麗で食べ物が美味しい、どこへ行っても安全で交通が便利、接する人々が笑顔で優しい———日本が当たり前に持っているこの環境は、実は多くの国では、ハイクラスの人たちしか味わえない特別なものなのではないだろうか。だからこそ、彼らは日本の環境自体に衝撃を受け、魅力を感じるのかもしれない。



今や、世界中の人たちがいちばん行きたがっている海外旅行先は、日本らしい。円安だけが理由ではない。自然とテクノロジー、誠実と優しさが融合した国。アニメに出てくるそのままの国。世界が訪れたくなる未来の国。

これからの未来、多くのフランチャイズやチェーン店では機械化が進み、AIやロボットがオペレーションをこなすようになるだろう。10年後の牛丼屋に、果たして人間の店員がいるのだろうか。リアルな人間によるサービスは、貴重で高価なものになってゆく。例えば高級老舗旅館のおもてなしはAIに取って代わることはできないし、客側もそれを求めないだろう。

そうやって社会が変わりゆく中でも、日本そして日本人が変わらず持ち続けていってほしいもの。それは、外国人が驚き褒める「綺麗・安全・優しい」という国民性だ。この文化と精神を絶やすことなく次世代に繋いでいくことが、国を守ってゆく我々の使命でもあると思う。
「日本は世界のオアシスだ」———そう世界中の人々から思われる国になるように。